昭和48年2月に東洋工業に入社してからの永田芳廣さんの活躍は幅広い。社内技能検定の設立に一から関わり、運営担当者として受検者の実技指導や検定を行った。生産技術部へ移って組立ラインの開発や改造などを手掛け、その現場を統括する職長も経験。卓越技能者養成コースがスタートすると、技能伝承の講師として継承者を育成。他に安全衛生業務などでも尽力している。
歩みを振り返り「匠(たくみ)の技とか卓越した技能などではなく、本当に必要なのは『どう作っていくか』のイメージを持つこと」と言い切る永田さん。若手に伝えていきたいという持論。 そして、「いかに自分が仕事に対して哲学を持てるか、どれだけ熱意を持てるかといった『心』が大切。それがお客さんに喜ばれる車、ブランドイメージにつながっていく」と力強く話す。
長い間業務に精励し衆民の模範である者に授与される黄綬褒章を受章し、「私個人ではなく、マツダ全体での受章。自分を成長させてくれた会社への恩返しと思って、若手人材育成や国際協力事業などに貢献したい」とほほ笑む。取材の最後にそっと家族への感謝を口にする人柄が、心を大切にする永田さんらしい。(門田)