女性化学者国際賞を受賞した広島大副学長 相田美砂子さん
国際的な化学者組織「国際純正・応用化学連合(IUPAC)」が選出する女性化学者国際賞を受賞した。日本人の受賞は4人目。理論化学の分野で優れた研究実績を残し、大学改革でのリーダーシップなどが評価された。理論化学は、コンピュータを使って化学反応や複雑な分子の構造などを計算で予測する。「数学が好きだったのと、実験をしなくても理論で予測できる」ことに惹かれ、理論化学の研究者の道を選んだ。
国立がんセンター研究所の研究員を経て1998年に広島大理学部教授に就任。「私の研究はコンピュータの進歩とともに歩み続けてきた」と振り返り「どうしてそうなるのかを解明できるのが理学の醍醐味」と基礎研究を積み重ねてきた。
さらに、副学長として大学経営企画、大学改革も担当。コンピュータを用いたデータ分析に基づいて、独自のシステムを開発、各教員の論文数や研究資金の獲得といった実績を数値化。広島大が世界のトップ100大学を目指すことを提唱し、実現のための指標を示した。「理論化学の研究で培った感覚を生かした」とほほ笑む。これからの夢は「大学内のさまざまな分野で女性が活躍する素地を作りたい」と言い切る。(日川)