東広島市立美術館の所蔵作品展が東広島市八本松南の同館で開かれている。テーマは「美術のキーワード 入門編 具象と抽象」で、広島にゆかりのある作家を含む11人の絵画作品9点、立体作品3点が展示されている。
具象のコーナーでは広島市生まれの画家、小早川篤四郎の油絵「U婦人像」が印象的。ソファに座り、遠くを見つめた和服姿の女性を、穏やかな中間色を使い描いている。抽象のコーナーで目を引くのは入野忠芳の「風成95—1」。5歳の時に被爆したことから、崩壊と再生を生涯のテーマとした広島県生まれの画家。筆の代わりに風(空気)を使って描いており、黄色い油絵の具が無数に広がり、作家の表現する世界に引き込まれる。具象と抽象のどちらにも判別し難い「具象と抽象のはざまで」のコーナーもある。それぞれ解説が付いており、作品に親しむことができる。
学芸員の所ふたばさんは「今までなかなか展示することがなかった大型の作品を展示している。八本松町の東広島市立美術館としては最後の所蔵展覧会。ぜひ来場を」と話していた。
主催は東広島市立美術館で6月9日まで。休館日は月曜日。
(石田)