カープ日南秋季キャンプ
打線復活、打撃向上。今季の一番の反省を踏まえて、1日から始まった日南秋季キャンプも終盤線。打線の不振からあと一歩のところでCS進出を逃した。 「苦い経験を頭に入れて、打って打って打ち込め」新任の石井打撃コーチの〝ゲキ〟の元、野手全員が打撃重点主義のキャンプとなった。
菊地、丸の主力組も参加して連日ハードな打ち込 み。午前9時から秋の夕陽が沈んで暗くなる午後6時前、天福球場を囲む杉山に乾いた打球音が響き渡る。練習模様はマシン3台を使ってのフリー打撃の他、室内2カ所と内野ファールグラウンド2カ所に設置された〝鳥かご〟でも、先を争っての打ち込み風景。
目を光らせながら忙しいのは選手ばかりではない。守備走塁から打撃コーチに転任した石井コーチと、現役を引退して就任した東出コーチ。「このキャンプはスイング、スイング、スイング。スイングで始まり、 スイングで締めくくるんです」(石井コーチ)。宿舎に帰っても素振りが続く。球場に出かけての夜間練習も行われる。猛練習に明け暮れ初優勝した75年代(1975年)の再来を思い出す。
今季リーグ5位のチーム打率(2割4分6厘)と同様の成績だった丸は「外角のボールに対して上体が流れて、大きくフォームを崩していた」とフォームの矯正に終始。その結果は昨年築いた(3割1分)フォームを取り戻したという。 「打つポイントが速かったり遅かったりしていた。迷いなく来春のキャンプに入れます」と丸はチームリーダーとしての自覚も備わってきた。打球は広角に鋭く外野へ飛んでいく。フェンス越えも群を抜いていた。
守備の面では外野部門の丸と共に、二塁手で3年連続ゴールデン・グラブ賞を受賞した菊地も、打撃では不振に陥った。最も原因となったのは、最後まで隠し続けた足の痛みだった。キャンプ期間中は筋トレなどのリハビリに費やした。状態を見ながらのバッティ ングはさすがだった。野手の間をほとんどがライナーや、強烈なゴロで突き刺さるように転がっていく。期待を大きく裏切った菊地は「来年を楽しみにしてください」と笑顔で応えた。
今季レギュラーポジションをものにした若手の田中や野間。鈴木誠らは競争意識を前面に出しながら打ち込んでいた。早や中堅組にさしかかる新婚の堂林。ベテランの天谷らも、それぞれの個性を出しながら実りのある秋季キャンプを送っていた。
プレスネット2015年11月21日号掲載