春季キャンプ便り〈日南編〉
2月1日から始まったカープの日南キャンプは順調だ。早くも第3クールに突入。実戦練習の中の紅白戦はベテラン、若手、新人、新外国人選手らレギュラーポジションを目指して の競争が続いている。
2年目を迎えた緒方監督は、昨年のAクラス入り(CS進出)を最終戦で逃した悔しさと責任を踏まえて、キャンプイン初日から 自身にもナインにも常に厳しく臨んでいる。
「ピッチャーを中心に守り勝つ野球。1点を手堅く取る野球」が今季の緒方野球のテーマ。
右翼後方の室内ブルペンには、緒方監督がピタリと張り付いている。マエケンが抜けた(ドジャース移籍)投手陣が、一番気掛かりで心配な点だ。
畝ピッチングコーチは「当然ですよ」とうなずく。ポスト〝マエケン〟の 一番手に上げたのがおととしの新人王で実力派の大瀬良だ。昨年はチーム事情から、セットアッパーに回された。「先発ローテをきっちり守って投げる方が性格的に合っています」とブルペンでは生き生きとして投げ込み、最も早い仕上がりを見せていた。マエケン伝授のフォークボールも試す。「投球幅が広がってより効果もある」と大瀬良は2桁以上の目標を掲げている。
並ぶようにして投げているのが、昨年不調(5勝8敗)だった野村だ。「制球 力を重視しながら投げている」と若手投手陣の競争心をあおっている。入団5年目で自身最多の9勝をマークした福井も「今年は2桁はいきます」と意気込む。
こうしてポスト・マエケンをめぐって大瀬良、野村、福井らブルペンは、日を追って加熱。受ける捕手陣は「同世代の競争は面白いです。3人とも手応えがあるし、それぞれの勝ち星は増えると思う」とベテランの石原。
もう一人、楽しみな存在なのがルーキーのドラフト1位、岡田(大商大)だ。 MAX150キロ台のストレートに変化球のキレも良い。畝コーチは「先発でも抑えでもいけそうです。ひょっとすると2桁台も届きそうです」と目を細める。
ポスト・マエケン。ローテーション入り。激化する若手陣の競争は、近年にない日南キャンプの中身の濃さを漂わせていた。
プレスネット2016年2月13日号掲載