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(SUN)

 第12回 再建のカギはキク・マル打線

  • 2023/08/09

春季キャンプ便り〈日南編〉

多くのファンで盛り上がる天福球場

 「オレが目立つようじゃいかんのだ。マスメディアももっと若い人をどんどん扱ってもらいたいね」キャンプ一番の元気者39歳の新井が、汗とドロにまみれながら、テレビクルーに申し込んでいた。

 となりでは〝復活〟へ黙々として打ち込む丸の打撃が目を引いた。昨年の打率2割4分9厘が「全く不本意な成績でした。今年は3割が最低の条件です」と練習後の居残り特打も休むことはない。フォームの改良にも踏み切った。スリ足をやめて、右足を少し上げてタイミングを取る。「今のところピッタリ合っている」と試行錯誤の上、久々に丸に自信が見えてきた。

 東出打撃コーチは「去年は打ちにくいとき内外角にバランスが崩れていた。今年は2年前(3割2分)に戻ってきている」打線の中核をなす丸の復活がカギを握る。

 もう一人気になるのが菊池だ。昨年は両膝の悪さから一シーズン解放されなかった。その結果、昨年の3割バッターが、2割4部4厘の不調だった。「このキャンプはじっくりと取り組んでいます」と膝の状態も除々によくなっている。攻守に精彩が甦ってきた。菊池は「キク・マルで打線を活発化しますよ」右方向への打球を意識しながら鋭く振り抜く。緒方監督も「キク・マルが打線のカギを握っている」とチーム再建へ二人の力が不可欠だ。中日から移籍して来たルナのバッティングがスタンドの目を引く。実績があるだけに、緒方監督も、早々と三塁のレギュラー確約を決めている。「広島の優勝のために一生懸命頑張るよ。新しいチームで気持ちも充実しているよ」紅白戦では右方向へライナーのヒットを放つ。引っ張っても左翼フェンス直撃の二塁打で滑り込む。一味違う打撃術だ。新外国人のプライディも柔らかいバッティングで左右へ打ち分ける。「ホームランバッターではないが、計算ではできる」と石井打撃コーチは認めている。肩も強くレフトの守備位置をつかみそうだ。

キャンプ一番の仕上がりを見せる
新井選手
フォーム改良が順調な丸選手
充実した仕上がりぶりのルナ選手

 若い田中、野間、鈴木誠ら「身体能力の高さは3人とも持っているし、素質もある。でも期待だけでは使えないですから。彼らの競争の中からどれだけ攻守能力を高めていくかです」と緒方監督は「キク・マル」に続く有望選手として注目している。キャンプも日南から実践の沖縄へと移る。


プレスネット2016年2月20日号掲載

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