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疲れスッキリ! 目覚めパッチリ! ぐっすり眠れる3つの習慣

  • 2023/01/18

 寝不足に悩まされないために、今からできる3つの習慣を広島国際大学心理学科田中秀樹教授に伺った。睡眠不足が引き起こす不調や睡眠のメカニズムも合わせて紹介する。

教えていただいた先生

広島国際大学 心理学科
田中秀樹 教授

体温をスムーズに下げ、脳や体をリラックス

円滑な入眠のためには、体温がスムーズに下がること、手足から熱放散されること、脳や体がリラックスしていることが大切です。

 例えば、赤ちゃんが眠たくなると手足が温かくなるのは、体の体温を下げるために手足から熱放散しているからです。円滑な入眠のためには、頭寒足熱、つまりリラックスしている状態、体温が低下しやすい状態をつくることが大切です。

 リラックス方法として、筋弛緩法(きんしかんほう)、香りをかぐ、音楽を聞く、就寝前の温かめの風呂に入るなどさまざま。好みの音楽を聞くことで交感神経系活動を鎮めたり、鎮静効果が期待できるラベンダーやカモミールもリラックスできます。寝る直前の軽いストレッチや足湯(そくよく)は冷え性の人に効果的。また、寝る前の決まった行動(入眠儀式)をするのも効果的で、寝る1時間前から部屋の明るさを半分に落とすだけで眠りやすくなります。

 寝る時間の3時間前までに体温を上げるには、夕食を取る、早歩きなど多少汗ばむ程度の運動をする、熱めのお風呂に入るなどがあります。寝る直前にこれらをしてしまうと体温が下がるのを邪魔してしまい、眠りにくくなってしまうので要注意です。

体は夜つくられる 睡眠の三つの役割

 睡眠には、浅い眠りの「レム睡眠」と深い眠りの「ノンレム睡眠」があり、それらがセットになって約90分周期で繰り返されます。主に体が休むのがレム睡眠。このとき脳は活発に動いているため、夢を見る。一方、ノンレム睡眠では脳がしっかり休み、体の中では成長ホルモンなどが分泌されて修復作業が進みます

クールダウン

 私たちの脳は常に酷使され、ヒートアップ気味。睡眠中は疲れた脳を休ませ、クールダウンさせる大切な時間帯です。人間の睡眠自体、発達した脳を効率的に休ませるために進化してきました。もちろん、体の休息にもつながる大切な役割をになっています。

修復・再生

 日中の活動で傷つき消耗した細胞や組織の修復が、眠っている間に行われます。素材となるたんぱく質の合成は、睡眠中に高まります。睡眠時間が足りないと修復作業も間に合わず、心身のメンテナンスが不完全になります。

翌日への備え

 眠りの後半にはコルチゾールというホルモンが増え、やる気やストレス抵抗力、免疫力などが強化されます。今日の眠りは、まさに明日への備えです。

呼吸を繰り返して自律神経の働きを整える

 自律神経に対して効果的なのは、呼吸です。ストレスなどで眠れない人は、交感神経が過敏になっていることが多い。呼吸を上手に使って自律神経のバランスを整え、睡眠の質を上げましょう。ゆっくり長めに息を吐くと、リラックスモードの副交感神経が優位になります。

 イライラしがちな人は交感神経が優位になっているので、ゆっくりと吐くことを意識した呼吸法がおすすめ。

睡眠不足でこんな不調が起こる

「 太る 」

 8000人以上を対象にした米国の調査によると、7~9時間寝ている人に比べ、5時間睡眠の人は肥満率が50%高く、4時間以下の人は73%も高かった。また別の研究では、8時間睡眠の人と比較すると、5時間睡眠の人は食欲を高めるグレリンというホルモンが増加、一方食欲を抑えるレプチンというホルモンは少なかった。

「 便秘 」

 睡眠は消化器にも影響する。睡眠時間が極端に短かったり、不眠などの睡眠障害を抱えたりしている女性は、便秘になる率が高いと報告されている。一方、便秘だと睡眠の質が悪くなるという調査結果も。眠りと便秘、どちらが原因でどちらが結果なのかははっきりしないが、深い関係があることは確か。

「 うつ 」

 心の健康と睡眠は関係が深い。医学部の卒業生を30年以上追跡した米国の調査によると、不眠が長期間続いている人はそうでない人に比べ、抑うつのリスクが約10倍、不安症状のリスクは17倍高かったという。また、うつになると、その初期段階から不眠症状を訴える人が多い。「2週間以上不眠が続くようなら、うつを疑え」とさえいわれている。

「 肌トラブル

 睡眠が足りないと肌の調子も悪くなるという経験は、誰にでもあるはず。近年の研究によると、徹夜後の肌は角層の水分量が低下しているのに、皮脂量は増加、皮膚のpHも弱酸性ではなかった。またほおの部分の温度がほどんど上がらず、顔色が青白かったという。たった一晩の睡眠不足でも肌はダメージを受ける。

「 免疫力ダウン 」

 ぐっすり眠れないと、インターロイキンや免疫グロブリンといった免疫にかかわる様々な物質が減少し、感染症などから体を守る免疫機能が低下する。こうなるとカゼを挽きやすくなったり、花粉症やアトピー性皮膚炎などのアレルギー疾患にかかったりするリスクも高くなる。ワクチン接種の日に徹夜をすると、交代が少ししか作られなかったという報告も。(グラフ参照)

一晩の徹夜でも免疫力にダメージが

 19人の健康の人がA型肝炎ウイルスのワクチンを接種。接種日に通常通りの睡眠をとったグループと徹夜をしたグループで、抗体のでき方を比較した。接種から28日後、徹夜組の抗体量は睡眠組より97%も少なく、免疫力が下がっていた。 (Psychosomatic Medicine 65:831-835,2003)

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