今年も梅雨シーズンを迎えた。毎年のように土砂災害や水害などの自然災害が懸念される。特に近年は、線状降水帯による豪雨が被害を拡大させている。東広島市でも死者が出る災害が起こっている。災害から身を守るためにはどうすればいいのか。災害の危険度を示したハザードマップの重要度は増している。
東広島市が作成したハザードマップは、100年に一度程度の雨が降った際の土砂災害の危険区域や河川の氾濫による浸水想定区域を示した冊子と、2015年の法改正で「1000年に1回」級の降雨が被害想定に加わった区域を示したリーフレット(A2判)がある。
冊子については、浸水想定区域を、黒瀬川、沼田川、椋梨川、入野川、三津大川の5河川からの区域に限定しているが、リーフレットでは、63ある中小河川からの浸水想定区域も加えられている。浸水想定区域のデータを重ねると、浸水の深さを示す色塗りの個所が大幅に増えているのが分かる。水害リスクへの備えを、より万全にするには、リーフレットタイプも有用だ。
市内には、がけ崩れや土石流による土砂災害の危険区域は3819カ所ある。
ハザードマップには、西日本豪雨災害など過去に発生した土砂災害の流水区域を示しており、事前に確認したい。ただ、「線状降水帯はどこで起こるのか分からないのが特徴。東広島は地盤が弱い花こう岩地域が多く、傾斜地に住む人は、危険区域以外でも備えを忘れないで」(市危機管理課)と呼びかける。
一方で、東広島では、河川の水位が高くなって水があふれる外水の浸水に加えて、排水が追い付かず、降った雨が河川にたどりつく前に街にあふれる内水浸水が増えている。都市化の進展で、保水力の高い農地エリアに住宅や施設が増えてきたことが要因だ。冊子タイプには、西条の一部地区で内水浸水の想定区域も示されており、低地に住んでいる人は確認をしておこう。
市危機管理課では「地震と違い、水害は気象情報などで事前に予測できる。言い換えれば、自分の身は自分で守ることができることを忘れないで」と指摘する。
近年の東広島市で起きた自然災害
2004年8月30日
台風16号・家屋被害(高潮による床下・床上浸水)
2004年9月7日
台風18号・公共施設被害、家屋被害(高潮による床下・床上浸水)
2010年7月13~15日
集中豪雨・家屋被害(床下・床上浸水)、 安芸津支所浸水被害
2018年7月5~9日
集中豪雨・死者12人、災害関連死8人、重傷者17人、軽傷者11人、行方不明者1人、家屋被害など
2020年7月14日
大雨・死者2人、家屋被害など
ハザードマップの使い方
①自宅の位置と危険な場所の有無の確認
自宅や通勤、通学先やその周辺が浸水想定区域や、土砂災害警戒区域に含まれるか地図上で確認する。
②付近の避難所を確認
まず初めに地域ごとに開設される指定避難所を確認する。
③避難経路を歩いてみる
あらかじめ決めておいた避難経路が、安全に通行できるか歩いて確認する。
地図の見方
■洪水による浸水の深さ
■土砂災害警戒区域・特別警戒区域
ハザードマップとは
自然災害(洪水、土砂災害、高潮、津波、地震)が発生したときに、どこでどのような災害が起こるかを予測して地図上にまとめたもので、危険区域や避難場所などを確認できる。前もって災害による被害を知ることができるので、災害が起きたときに冷静に判断し素早く安全に行動できる。自分が住んでいる周辺にどのような災害のリスクがあるのかを知り、防災対策に役立てよう。ハザードマップは、全戸配布済。各家庭で確認を。
アイキャッチ画像は2018年西日本豪雨災害のコラージュ写真。
プレスネット編集部