11/16

(SAT)

高校生 税を調べて思うこと 11月11~17日は税を考える週間

  • 2021/11/08

 国税庁は1962年から毎年、高校生に税に対する関心を深めてもらおうと「税に関する高校生の作文」を全国から募集している。西条税務署管内では、3校から381編の応募があり、同署長賞に3人が選ばれた。高校生は、税とどう向き合っているのか。その思いと受賞作品を紹介する。

広島県立河内高等学校 2年生 冨高菜奈恵さん

 

テーマ

税金って

内 容

 身近に起こっている新型コロナウイルス感染症や西日本豪雨などの災害と税の関わりを知ることで、税金は生活を支えたり、命を救ったりすることに使われていることが分かった。
 税金に何の意味があるのかと思っていたが、生活と税金がつながっていることを知り、税に対する捉え方が変わった。

「税」を調べて思うこと

 作文がきっかけで税金について調べ、税金の大切さを知り、興味を持ちました。多くの生徒に税を考えてもらいたいので、生徒会でチラシを作って配布するなど、行動できればと思っています。これからも、税について詳しく知り、社会に貢献できる人になりたいです。

 

<受賞作品>

「税金って」

 私は新型コロナウイルスにより、税金に対する捉え方が変わりました。

 徐々にそのウイルスは感染を広げていきました。当初はすぐに終わるだろうと軽い気持ちでいました。その考えはすぐに撤回され、一気に新型コロナウイルスが本気を出し、最初は中国・武漢だけだったのが、すぐに日本に上陸し、日本中にも感染を広げました。その影響で緊急事態宣言が発令され、学校は休校、お店はスーパーしか開かない状況になり、うまく経済が回らない日々が続きました。新型コロナウイルスが広がり、お店を辞めることにするところもたくさんありました。その中でも悲しいことに、生活が出来なかった人など命を絶つ人もいたと思います。

 このようなご時世なので、私は新型コロナウイルスについて、調べてみました。すると驚きの事実がわかりました。ここから私は、税金に対する捉え方が変わりました。新型コロナウイルスは「指定感染症」であることから、検査や治療の費用は公費でまかなわれるため、自己負担ではなく、私たちの元から集めた所得税や消費税などの「税金」が使われているということです。そしてもう一つが、国民一人ひとりに給付金十万円を政府が全家庭に配ったということです。この事実を知る前までは、正直、「税金は何の意味があるのか」というような考えでしたが、今、この現状でこの事実を知ると、税金はただ取っているものではなく、しっかりと人を助けるものとして使われているものだと分かりました。

 そして、税金は新型コロナウイルスのときだけでなく、私が経験した西日本豪雨のときも同じように、税金が使われました。例えば、避難するときにたくさんの消防士の方が手助けをしてくれたりと多くの人が私たち市民の命を救ってくれ、普段私たちが何となく払っている税金は、命を救ってくれた方や、新型コロナウイルスワクチンなどのように、税金を払うことは、意味のないことではなく、しっかりと意味のあることだと分かりました。

 これからは、消費税だけでなく、所得税や法人税などが増えてくるので、税金が何の役に立つのかを考えていきたいなと思いました。

広島県立広島高等学校 1年生 道満歩果さん

 

テーマ

コロナを乗り切る募金活動

内 容

 広島県は、新型コロナウイルス感染拡大で影響を受けた飲食店などを支援するために給付金を出した。
 県の財政が厳しくなるのではないかと思い、湯崎英彦県知事に募金を提案する手紙を送った。勇気を出して自分や人のためにできることを考えて行動したい。

税を調べて思うこと

初めて税について調べ、危険な場所にガードレールを付けるなど身近なところに使われていることを知りました。県立の学校の運営にも税金が使われています。改めて、税金で勉強させてもらっていることに感謝しました。税は私たちにとって大切なものだと実感できました。

 

<受賞作品>

「コロナを乗り切る募金活動」

 令和二年三月、新型コロナウイルスの感染拡大によって、たくさんの店に時短要請がされていたことを覚えているでしょうか。その頃、私はニュースで

「来店されるお客さんの数が減り、もうけが少ない」。

「お店を経営するのがしんどい」。

といった、営業している方の言葉を頻繁に耳にしました。私たち学生から見ると、一端自粛して感染が収まったらまた営業を開始すれば良いのではないかという意見は少なくないと思います。実際、私も妹も、政府からの時短要請に応えられず営業を続けていたお店に対し、自粛しないと感染収まらないのに、どうして守らないのだろうと疑問に思っていました。しかし、営業している方たちはお店を開き、お客さんがいてはじめて暮らせる、生活するにはお金が必要です。そう考えれば、要請に応えられない方の考えを持つのが当たり前だと思います。

 生活するために働くか、感染防止のために自粛するか。そんな中、感染防止を第一に考え、広島県は時短せざるを得ない経営者さんに給付金を給付しました。これでみんなが自粛の中でも生活できる、と思いました。しかし、県の財政が厳しくなるのではないか、という考えが浮かびました。お金が上手に回らなくなってしまった世の中で、県がたくさんのお金を県民に給付するとなると、もちろん厳しくなるでしょう。

 この状況を受け、私は妹と一緒に、SNSなどで県に募金したら良いのではないかと考え、湯崎知事に提案の手紙を送りました。大人だけでなく学生も、県のために何かできることがあるのではないかと思ったからです。もしかしたら、忙しくて読んでいただくことが難しいかもしれない、と思っていたため、五月上旬、ポストに湯崎知事からのお手紙が入っていたのを見た時、とても驚きました。

 いただいたお手紙には、

「県の取組に御理解をいただき、寄附金の募集を御提案いただきましたことに感動しました。広島県では五月半ばから募集を始めました」。

とありました。インターネットでも、募集を行うと知り、私たちの提案は無駄じゃなかった、送って良かったなと思いました。

 自分から行動するのはとても勇気がいることです。しかし、私たちが書いた手紙はちゃんと湯崎知事のもとに届き、感謝のお返事までいただきました。私たちがしたことは、間違いなく良い経験だと思います。勇気出してお手紙を書いて良かったです。これからも、自分のために、人のためにできることを考え行動したいです。みなさんも、まずはコロナ禍を乗り切るためにも、募金から始めてみませんか。

武田高等学校 2年生 津川京佑さん

 

テーマ

教育と税金について考えること

内 容

 経済的な理由で高等教育をためらう高校生が多くいる。学力と意欲さえあれば、誰でも高等教育が受けられるよう無償化を訴える。
 納税者になった時は、税の意義や役割を理解し、税を厳しい目で見守りながら、日本国民としての義務を果たしたい。

税を調べて思うこと

 税金が教育にどのように使われているか興味を持ち、日本と海外を比較して調べました。北欧は、税金が高いけど教育費は無償です。日本は私立だと授業料が高く大学進学には、多額な費用が掛かり経済的な理由で選択肢が絞られます。最大限生かせるような制度を作ってほしいと思います。

 

<受賞作品>

「教育と税金について考えること」 

 現在高校二年生の私は、四年制大学への進学を希望している。志望大学はまだ決まっていないが、日本の私立大学の学費はかなり高額であることは承知している。また、自宅外からの通学となると毎月の住居費や食費等を含む親からの仕送りも別に必要となる。それゆえに、学費の安い国立大学及び公立大学への進学を希望している高校生が多いことも理解している。

 私もそのひとりで、両親とも相談した結果、各種の奨学金の受給申請を来年以降行う予定である。少し調べたところ、ヨーロッパでは国公立大学の学費が無料という国が複数あり、大変驚いた。その分高い税率になっているようだが、希望する人すべてに無償で高等教育を提供している国々は、私にはとても魅力的に映る。

 日本では、日本国憲法第二十六条において教育を受ける権利と義務が保障されており、義務教育については無償で受けることができる。そうした教育に関わる経費の源泉が税金となっているが、現状では「教育に携わる人の給料」、「学習環境の整備」、「将来を見据えた研究と開発」に使途が大きく分かれている。

確かに、これまで税金のおかげで安心して教育を受け続けることができた。今後の日本を支えるであろう私たちの世代への期待感や義務感もあり、すべての世代で税金を負担し合い、助け合っていることに未成年の私は感謝している。

 しかしながら、お金の問題で本当に受けたい高等教育を受けることをためらう高校生は日本全国に多数いる。新型コロナウイルス感染症関連の対応もあり、日本の財政がさらに深刻な状況に陥っていることは十分に承知しているが、学力と意欲さえあれば、学費を気にすることなく誰でもいつでも場所を問わず高等教育を受けることができる環境が、近い将来整備されることが私の願いであり、今後の日本の発展を支えるものと考える。

 私もいずれ納税者になる。税金がどのように使われ、社会にどのように役立てられているのかをしっかりと理解し、時には厳しい目で見守り、私と同じ境遇の高校生に対する思いを馳せながら、適正に納税を行い、日本国民としての義務を果たしていきたい。

児童・生徒の租税作品

東広島市で展示

11月10~15日 東広島芸術文化ホールくらら

 小学生の絵はがき、中学生の作文と書写、高校生の作文(入賞作品のみ)

11月15~20日 フジグラン東広島

 小学生の税に関する絵はがき

親子で読みたい 西条税務署のミニコラム

学生バイトと103万円の壁

 扶養しているお子さんがアルバイトをして、給与収入が103万円を超えてしまい扶養親族から外れてしまうケースがよくあります。それは、「年間の合計所得が48万円以下(令和元年以前は38万円以下)であること」という扶養控除の要件を満たしていないことが原因となります。

 ここで、「103万円」、「48万円」と2つの金額が出てきましたが、どう違うのでしょうか?

 まず、給与の税金を計算する時には、給与の収入から「給与所得控除(給与収入103万円の場合、給与所得控除は55万円)」というものを差し引きます。計算の結果、差し引かれた金額を「給与所得」といい、最初に説明した扶養控除の要件である「年間の合計所得が48万円以下」を判断する金額となります。ですので、103万円を超えてしまうと給与所得が48万円を超えるので、扶養から外れてしまいます。

 これは、給与収入のみの場合ですので、他に収入があると計算などが変わるため注意が必要です。

 この「税を考える週間」を機会に、家族で話し合ってみてはいかがでしょうか。

ザ・ウイークリー・プレスネット

2021年11月11日号掲載

 

おすすめ記事

新着記事