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自分の乳房意識する習慣を ブレスト・アウェアネス 乳がんの早期発見に役立てて

  • 2022/07/26

 乳がんは日本人女性がかかるがんの中で最も多く、罹患(りかん)者数は年間約9万人。乳がんにかかる女性の割合は9人に1人。「乳がんは完治が目指せるがん。完治のカギは早期発見。ブレスト・アウェアネスを始めましょう」と専門医は呼び掛けています。(生活取材班)

木村優里医師
木村優里医師
プロフィール
日本外科学会外科専門医、日本乳癌学会乳腺専門医、日本臨床腫瘍学会がん薬物療法専門医。本永病院では毎週月曜日午後の乳腺外来を担当。10月16日の「ジャパン・マンモグラフィー・サンデー」も担当する

 ーブレスト・アウェアネスとは? 

 自分の乳房の状態に日ごろから関心を持ち、乳房を意識する生活習慣のこと。具体的な取り組みとしては、日ごろから自分の乳房の状態を知っておく、乳房の変化に気を付ける、変化があれば医師に相談する、乳がん検診を受診することなどです。完治が目指せる乳がんは、早期発見と早期治療が鍵です。ぜひブレスト・アウェアネスを生活に取り入れてください。

 ー自分の乳房を知るためのポイントは?

 乳がんは基本的に痛みがなく、自身で乳房を気にしていないと気付きにくいがんです。乳がんになった約6割の人が「しこりを感じた」という自覚症状を挙げています。着替えや入浴時などに自分の乳房を見て触って感じてみてください。日ごろの状態を知っておくことで、変化にも早く気付くことができます。

 ーマンモグラフィによる乳がん検診は、なぜ40歳以上が対象なのですか。

 東広島市では乳がん検診として、40歳以上の女性を対象に2年に1回のマンモグラフィ検診を行っています。乳がん発症は40代から急激に増え、60代でも発症が多いという2つのピークが見られます。マンモグラフィ検診は痛みや放射線被ばくという欠点もありますが、触診では発見できない小さなしこりを見つけることができます。マンモグラフィを受けることで乳がんの死亡率が15~20%減少するというデータもあります。

 しかし、40歳未満の女性はマンモグラフィ検診の有用性は確認されていません。年齢が低いほど乳腺組織が多く存在するため異常の発見が難しくなるためです。

 家族に乳がんや卵巣がんの人が多い、すい臓がん、前立腺がんの人がいる場合など、気になるリスクがある人は超音波検査の受診をお勧めします。超音波検査を行うことで、乳がんの発見率が1・5倍に上がるといわれています。

 ー40歳未満なら乳がんの心配はない?

 最近、乳がんを公表する著名人が増え、その中には20代や80代の人もいます。つまり、どの年代でも乳がんになる可能性があります。乳がんは、小さく見つかり適切な治療を行えば治る可能性が高いがんです。ブレスト・アウェアネスで早期発見につなげてください。

 ー乳がんに遺伝性はありますか。

 近年、乳がんにかかった人の5~10%に「遺伝性乳がん」が見られます。BRCAという遺伝子に変異が見られる場合は、乳がんや卵巣がんになる可能性が高まります。乳がんにかかった人でBRCAに変異がある場合は、保険適用で検査や予防的な乳房の切除、卵巣の切除を行えるようになりました。

 ー乳がん検診の直前にコロナワクチンを接種した場合、気を付けることは。

 ワクチン接種後に脇が腫れることがあり、乳がんの転移と診断してしまう可能性があります。検査時に、接種した日と、どちらの腕に打ったのかを伝えてください。注意して画像をチェックします。

 ー平日は忙しくて検診に行けない人も多いです。

 毎年10月の第3日曜日に、日曜日に乳がん検診が受けられる「ジャパン・マンモグラフィー・サンデー」という取り組みが全国で展開されています。今年は10月16日。東広島市では本永病院が参加しており、予約開始は8月1日から。詳しくは同病院電話082(423)2666へ。

Let’s セルフチェック 自分で発見できるがん

 乳がんは「唯一、自分で発見できるがん」といわれている。自分で触れたり観察したりして早期発見につなげよう。もちろん、40歳以上の人は乳がん検診も併せて受けよう。

生理が終わって1週間後に、閉経後の人は月1回日にちを決めてセルフチェックを。

■鏡を見ながら観察

1 両手を下げて①乳房の形に左右で差がないか②乳房にしこりやくぼみはないか③乳首がへこんだりただれができたりしていないか-をチェック

2 両手を頭の後ろで組んで1と同じ3点をチェック

鏡を見ながら観察

■あおむけで触診

1 右腕を頭の後ろに置き、左手の親指以外の4本の指の腹で、右の乳房を軽く圧迫しながら、まんべんなく触れしこりがないか調べる

2 そのままの状態で右の脇の下にしこりがないか調べる

3 左腕を頭の後ろに置き、左の乳房、脇の下を調べる

あおむけで触診

■座って触診

最後に左右の乳首を軽くつまみ、血のような異常な液が出ないか調べる

座って触診

Check 次の症状があれば乳腺外来で受診を。

□しこりがある
□乳房の皮膚にひきつれやくぼみがある
□乳頭が最近陥没してきた
□乳頭から分泌物(血が混じったもの)が出る
□乳房の皮膚がオレンジ色のように変色している
□乳頭がただれたり、びらんが生じている
□脇の下にぐりぐりがある

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