家や建築に関するさまざまな話題をシリーズでお届けします
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同一階で生活できる動線の良さ
東広島市内をドライブしていると、新築の1階建て住宅「平屋」をよく見掛けるようになりました。
国土交通省の調べによると、居住するための住宅の着工棟数の平屋の割合は、2020年が11・20%。6・19%だった10年前と比べ倍増しています。
先日も、60代のご夫婦からついのすみかとして平屋のご依頼がありました。理由は同一階で生活できる動線の良さです。階段の上り下りがなく、手の届く範囲で生活できる快適さは、年を重ねるほど実感できるものです。
子育て世代にも人気な平屋
一方で、子育て世帯の30~40代でも平屋の希望が増えている印象があります。子どもが増えると部屋数が必要になり、限られた土地で部屋数を多くとるなら平屋よりも2階建てです。それでも平屋を選ぶのは、効率的な暮らしをしたいという暮らし方の選択。
子ども部屋は最低6畳、客間や仏間は必要といった先入観はなく、子どもの勉強はリビングでさせるし将来は巣立つので部屋は小さくていい、広さより動線を短くして家事負担を減らしたいという選択です。
平屋だと部屋が狭くなる印象があるかもしれませんが、リビングを通じて各部屋に入っていくようなセンターリビングなら廊下の分を部屋の広さに当てられます。収納が少ないなら、モノを持たないという考え方も生まれてきました。
コスト面のメリット・デメリット
次にコスト面のメリットも挙げられます。同じ面積の土地で2階建てと平屋では壁の量や、トイレや洗面などの設備の数、電気代などのランニングコストも減らせるでしょう。
また、屋根など高い場所の修理で足場を組む必要がなく、メンテナンスのコストもカットできます。
ただ、建築コストは基礎や屋根の大きさに左右されます。同じ延べ床面積の平屋と2階建てでは、平屋の方が基礎と屋根の面積が大きくなるため、2階建てよりも建築コストが高くなります。
「平屋」は暮らし方の考え方が多様化し、効率のよい暮らしを求める中で浮上した新たな選択肢といえそうです。
平屋のメリット
・生活動線の良さ
・ランニングコストを減らせる
・家事負担が減る
・メンテナンスのコストカット
平屋のデメリット
・部屋数を多く取りにくい
・基礎や屋根が大きいため建築コストが高くなる