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(THU)

東広島の一級建築士によるコラム 第4回 テーマ「家庭内事故のリスク回避」

  • 2023/05/18

家や建築に関するさまざまな話題をシリーズでお届けします

アリクコラム_2209

家時間が増えるコロナ禍の冬
温度差と段差を見直して

栁河元木さん
一級建築士 栁河元木さん
アリクデザインスタジオ 代表取締役
目次

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家庭内事故の死者数 交通事故の4倍

 暑い日が続きますが、今年も寒い冬が必ずやってきます。居室が暖かい分、廊下やトイレ、浴室が極端に寒いという家庭は多いのではないでしょうか。浴室内外の気温差が引き起こす「ヒートショック」は、心筋梗塞や脳卒中などを起こして死に至るケースもあり、深刻な問題です。

 家庭内の事故で亡くなる人の数は、交通事故の約4倍といわれています。厚生労働省の人口動態統計(2020年)によると、不慮の事故で亡くなった人の原因の上位は、ヒートショックによるものも含まれる「不慮の溺死・溺水」や「転倒・転落・墜落」でした。

断熱の外壁などで温度差を解消

 ヒートショック対策は、家の中の温度を一定に保つ高気密、高断熱の構造とすることがポイントとなります。新築の場合は、省エネ基準の適用で断熱のサッシや外壁の採用、ユニットバスや浴室暖房などが一般的になってきています。1棟まるごと暖房で、年中家の中の温度差を少なくする方法もあります。

 築年数がたっている家で、窓を断熱ガラスに交換したのに寒い、という相談がありました。壁が断熱仕様でないために寒いままでした。家によって状況は異なりますから、設計士など専門家に相談してください。

段差をなくしてリスクを軽減

 転倒対策では、つまずきの原因となる段差に注目します。引き戸をつり戸にしてレールをなくす、段差のある場所は床材の色を変えるなどして段差を分かりやすくしてつまずくリスクを軽減します。ある病院では、玄関の上がり部分で、床がつながって見えないように上がった床の縁の色を濃くしました。

 もう一つ、回り階段も要注意。3段以上あると事故が起こりやすいと言われています。踊り場の段はできるだけ避ける、または縁の色を変えるなどして段差を分かりやすくします。

 コロナ禍で家にいる時間が増えたことから、子供による家庭内の事故も増えているそうです。事故内容で最も多いのは「落ちる」事故、発生場所は多い順に台所、リビング、階段。家の中の段差や、窓やベランダの近くに台になる荷物を置いていないかなど改めて確認してみてください。

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