「市議の通信簿」特集を企画しましたが
市民の意識調査を踏まえやむなく断念
東広島市議会選挙まで6カ月に迫り、プレスネットでは市議29人(欠員1)の活動を評価するため、「市議の通信簿」特集を企画。無作為に抽出した市民100人にアンケート調査を行った。ところが、市民の74%は、「市議の名前すら知らない」という回答になり、市議を評価しようもなく、やむやく企画を中止した。アンケート結果を掲載、政治評論家の通称・菅氏に、アンケート結果が物語ることについて聞いた。
■アンケート概要
JR西条駅前で実施。西条駅は、無党派と呼ばれる地域とのしがらみが少ない幅広い年齢層が利用することから、駅前をアンケート場所に選んだ。9月上旬、無作為に100人に聞き、回答を得た。
性別
女 性…57人
男 性…38人
その他… 5人
年代
10代……25人
20代……31人
30代……10人
40代……7人
50代……11人
60代……4人
70代以上…12人
市議のアンケートをテーマにした座談会をYouTubeで配信
アンケート結果に政治評論家の通称・菅氏が本音で迫る
聞き手 日川剛伸
「議員らしさ」の欠如が市民との距離を遠くに
政治家たる議員を目指せ
Q.市議を知らないという市民が74%に上りました。
近年の低投票率をみれば予想できたこと。市議選は、市民生活に密着した最も身近な選挙。本来なら60%前後の投票率は維持してほしいところだが、市民からすれば、市議選ですら他人事の選挙になっている。市民に身近な存在で考えると東広島選出の県議3人を知らないという市民の割合は、もっと多いだろう。
Q.市民の議員に対する認知度が低い要因は。
コロナ禍の影響で、イベントや集会などが制限され、市民が議員と顔を合わせる機会が減ったことが影響している。ただ、私が一番感じるのは、今の議員には、「議員らしさ」が欠如しており、それが市民の政治離れにつながっている。(市民の認知度の低さは)政治に関心の目を向けない市民にも原因があるといわれるが、私は議員の方に原因があると思っている。
Q.「議員らしさ」とは。
議員には議員らしい立ち居振る舞いが必要だが、それができていないこと。議員は、他人の選挙や公の行事などで、市民の前に立つことが多いが、普通の市民と変わらないような言動をする議員も多く、市民の目には、「私たちと同じ市民」の一人としてしか映らない。
もう一つは、市民の頼み事に耳を傾けるのは議員の基本の仕事だが、ささいな頼み事には「われ関せず」のスタンスの議員も多い。市民と議員の距離を遠くしている原因だ。
Q.らしさを取り戻すためには。
会派でも何でもいいから、議員同士で、議員とはどういう立場の人間か、議員とは何をするのか、といったところを徹底的に話し合うこと。今の議員は会派に所属していても、個人がそれぞれに何かをしているという印象だ。議員を引っ張ったり、まとめたりするリーダーもいない。
Q.立場的には議長はリーダーです。
議長選を見聞きしていると、順番で議長を選んでいる印象だ。議長を選ぶために、仲の良い会派同士がグループを組んで、数の論理で議長を選んでいる。人物本位で議長を選んでいない。だから、議長になることが目的になっていて、近年は東広島の顔にふさわしい議長が出ていない。
残念に思うのは、議長選で会派同士がまとまっても、そこからの展開がないこと。議会内で過半数を超えて議員がまとまれば、例えば災害対策では「こうした方がいい」と市長と対等に対峙(たいじ)できるようになる。高垣市長にとっては、今の議会対策は楽だろう。
Q.半年後には市議選があり、多くの新人の立候補が取り沙汰されています。
市議になることが目的ならば、誰が立候補しても市民が市議に関心を持つことも、目を向けることもないだろう。私の持論は、市議は政治家であることだが、現状は政治家になれない市議が多すぎる。政治家には情が必要で、杓子(しゃくし)定規だけで物事を判断していては政治家にはなれない。政治家を目指す市議が増えれば、市民の市議への見方も変わってくるのではないか。