1日8時間以上座る人、死亡リスク高い
コロナ禍でテレワークが普及したり、外出の機会が減少したりして、日常生活で「歩くこと」が減っています。反対に増えているのが「座りすぎ」。座りすぎの人はそうでない人と比べて寿命が短いそうです。座りすぎにはどのような悪影響があるのか。東広島市西条下見のスポーツジム・アザーの代表・米澤和洋さんに、FM東広島パーソナリティーの原さおりさんが聞きました。
日常生活でしっかり動いて対策!
筋力の低下に気付けて良かった!
原 年を取るごとに筋力の衰えを感じます。
米澤 30代から、素早い動きに使う速筋線維の量が減っていきます。
原 生活環境も影響しますか。
米澤 座りすぎには要注意です。1日に8時間以上が座りすぎとされます。座りすぎで亡くなる人数は、喫煙で亡くなる人の2倍、という研究報告もあります。
原 私自身ここ数年、事務作業が多くて、座りすぎだと思います。姿勢の崩れなど体の変化を感じています。
米澤 座ることによって、太ももとお尻との境目にある筋肉の付着部の座骨結節が圧迫され硬くなります。硬くなると背中が曲がったり、腰や首の痛みを招いたりします。また、骨盤の前の筋肉も固まり、反り腰になり、脚の変形につながります。また、肥満度が高い、心臓病の疾患率が高いことなどが分かっています。
原 座りすぎはこわいですね。でも仕事だと座ることは避けられません。対策はありますか。
米澤 30分に1回、2分間、立ったり歩いたりしてください。高い机で、立ったまま仕事をするのもいいですね。立っていると、座っているときの1・3倍のエネルギーを使います。
原 そんなに使うエネルギーが違うんですね。それで座りすぎ問題は解決できますか。
米澤 それでは解決にはなりません。世界保健機関(WHO)は、週に1 50~300分の負荷の低い有酸素運動をすることを推奨しています。これにはウオーキングが適しています。
原 1日当たり30分が目標ということですね。これで筋力不足も補えますか。
米澤 有酸素系の運動は脂肪を燃焼させますが、筋力を強化するためには、やはり筋力トレーニングが必要です。週に2日の少し負荷の高い筋トレが理想です。
原 少し負荷の高い筋トレとは。
米澤 腕立て伏せ、重りを持ったスクワットなどです。
原 きつそう…。長続きするかな…。もう少しやさしい筋トレはありますか。
米澤 椅子に座って片足で立ち上がるトレーニングがあります。高さ40㌢くらいの椅子で楽に立てるようなら10㌢ずつ、低くしてみましょう。
原 …簡単にできると思ってやってみたのですが、私、40㌢で意外ときつかったです。腕の筋トレは。
米澤 腕立て伏せがぴったりです。負荷の高さを変えるやり方があります(左)。片足立ちも腕立て伏せも、10回ぎりぎりできる負荷で行ってください。
原 それなら続きそうです。
米澤 筋トレはきつければ良いわけではありません。自身が無理なく毎日できる運動が大切なポイントです。掃除やガーデニングも身体活動です。日常生活でしっかり動く、それをベースにウオーキングや筋トレを加えていくとよいですね。
・寿命が短い
・肥満度が高い
・2型糖尿病や心臓病の疾患率が高い
(厚労省資料より抜粋)
プロおすすめ やさしい筋トレ
【うで】
立つと楽にできる! 腕立て伏せは自分の力に合わせて!
腕の筋力強化には、腕立て伏せがぴったり。立った状態で壁に向かっての腕立てが一番、負荷が低いです。楽にできるようなら、机に手をついて。これでも楽にできるようなら、うつぶせになってスタンダードな腕立て。これでも楽なら、スタンダードの姿勢で両足を椅子に掛けて腕立て。
【あし】
介護予防にも! 片足立ちでチェック&トレーニング
足の筋力強化には、片足立ちがぴったり。将来の介護予防にもなります。腕を前に組んだ状態で椅子に座り、片足で立ったり座ったりを10回行ってみてください。楽にできるようだったら、椅子の高さを10㌢ずつ、低くしていってください。こうして10回ぎりぎりできる高さに調節して行います。
ぎりぎり10回できる負荷で毎日行おう
10回を1日に3セット
片足ずつそれぞれ10回1日に3セット