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東広島の一級建築士によるコラム 第5回 テーマ「注目の“付かず離れず”の二世帯住宅」

  • 2023/05/18

家や建築に関するさまざまな話題をシリーズでお届けします

アリクコラム_2210

遮音効果や間取りの工夫で
程よい距離感と心地よさを

栁河元木さん
一級建築士 栁河元木さん
アリクデザインスタジオ 代表取締役
目次

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安心感がメリット

 近年、「安心感が得られる」と親との同居が住まいの選択肢にあがるようになりました。その背景には、共働きで子どもを見守ってほしいから、災害が続き家族のきずなを大切にしたいから、また親の介護や空き家対策でという理由があるようです。

さらに、コロナ禍で在宅勤務が増え、同居なら子どもをさっと預けやすいというメリットもあります。

プライバシーどう確保

 同居となれば、家をどうするか。東広島市は広い敷地に新しい家をもう1軒建てる「敷地内同居」がよく見られます。

 一般的には、二世帯住宅のタイプは①完全同居型②完全分離型③部分共有型の3つ。①完全同居型は一つの住宅に2世帯が住むため、建築費を抑えられ、大家族の醍醐味を味わえます。ただ、プライバシーを確保しにくいのがデメリット。②完全分離型は玄関もリビングもプライベートも分離した、家2軒分のイメージの住宅。各世帯の生活リズムを守りやすく、プライバシーを確保できます。ただ、建築費やランニングコストは高くなりがちで、広い敷地も必要です。③部分共有型は、リビングや風呂など部分的に共有する住宅。共有リビングはあるけど世帯ごとにサブリビングを設けるなど共有の程度を調整しやすく、家族ごとの〝程よい距離感〟を保ちやすい住まいです。しかし、完全同居型よりもコストが高くなりがちで、広いスペースも必要です。

生活音ストレスの解消

 いずれの場合も、同居で考えておきたいのは、生活リズムの違いから生まれる生活音ストレス。1階は親世帯で2階は子世帯と上下で住み分ける場合、子世帯がよく過ごす2階の居間に高い遮音機能を持たせたり、1階の寝室の真上(2階)も寝室にしたりするなど上下で部屋の用途を一致させて生活音のストレスを軽減します。

 左右で住み分ける場合は、世帯間に収納スペースを設けて遮音効果を高める工夫もできます。完全分離型でも、照明の見え方、夜に駐車場に入れるときの車のライトの向きも注意して計画したいところです。

 各世帯の心地よい距離感についてよく話し合っておくと、家を建てる際に相談しやすくなります。同居を成功させるポイントは、相手の気持ちを大切にすることです。

お互いの心地よさを守る工夫

各世帯の照明の見え方、駐車場の向き(ライトの見え方)に注意する。

上下階で住み分ける場合

・上下階の部屋の用途を一致させ、生活音ストレスを軽減する。
・寝室の上は寝室に。

左右で住み分ける場合

・収納を介して分ける。

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