家や建築に関するさまざまな話題をシリーズでお届けします
今と昔が混在する町並み
古い町家、江戸時代の面影も
目次
築年数や当時を想像
広島県には重要伝統的建造物群保存地区(以後、重伝建)が現在4カ所あります。竹原、御手洗、鞆の浦、宮島。私は竹原の町並みが好きで、近くに行くと訪れています。メイン通りから1本中に入り、表からは見えなかった古いままの状態を見つけては築年数や当時を想像して楽しんでいます。
江戸時代から残る石垣
古い建物に興味があり、「ヘリテージマネージャー」を取得しました。ヘリテージマネージャーは、地域歴史文化遺産保全活用推進員のことで、いわゆる歴史的建造物の保全活用に係る専門家です。
この資格を生かし20 21年11月から、東広島市教育委員会から受託された広島大学大学院工学研究科の水田丞助教のもとで、酒蔵通り一帯の町並みの特徴を探る調査に参加しました。
一次調査では、対象地域内をあちこち歩き回って築50年以上経った建築物の外観を調査しました。古い地図を参考にして、築50年以上と思われる建物の当たりを付けて調べます。写真を撮り、建物の階数や屋根の形状や外壁についてのメモをとり、建設年代を推定しました。二次調査では建物の内部に入って、実測や写真撮影、所有者への聞き取りを行い、図面を作成しました。
ヘリテージマネージャーとして歩いてみると、見慣れていた酒蔵通りに新たに古い町家を見つけたり、この一帯の区分けが江戸時代からほとんど変わることなく残っていたりすることを実感しました。古い水路や石垣は今も見られます。
歴史的な空間を生かしたイベントも
今、全国的に、古い建物を活用して町の価値を上げていこうとする動きが生まれています。「ユニークべニュー」と呼ばれ、歴史的建造物、神社仏閣、城跡や文化施設など独特の雰囲気のある空間をイベントや事業、会議、レセプション会場にして特別な空間を届ける事業です。西条酒蔵通りにも醸造元のショップや、古民家を利用したカフェがあり歴史的な空間で過ごすことができます。
今と昔を行ったりきたりできるユニークな町並みを形成する西条酒蔵通り。ゆっくり歩いてみると、車で通りすぎるだけでは見つからない魅力を発見できます。