東広島市と大学が協力して、持続可能なまちづくりを目指す「Town & Gown(タウン・アンド・ガウン)構想」では、地域の困りごとに対して先端技術や研究力を活用したプロジェクトを立ち上げ、企業も参画して取り組みます。約2年半前に広島大学との連携が本格スタート。どんな技術を使ってどんなプロジェクトに取り組んでいるのか、現状を取材しました。(東広島市提供)
目次
「バーチャル東広島市」 疑似実験が簡単にできる
「バーチャル東広島市」を作って、建物やインフラを整備するときに、人や車の流れやコストなどのシミュレーションを行う計画。現在、その最初の段階として、実証実験の場である広島大学東広島キャンパスの一部で作業が進められています。
建設業のフジタが中心となって360度カメラで撮影したキャンパスや校舎のデータを使用し、その場のパノラマ画像が見られるシステムを開発中。今後、建設業で使われているソフトウエア「BIM(※)」で、バーチャルキャンパスを作り、構想に関わるプロジェクトの疑似実験を行います。
バーチャル東広島市ができると、例えば「バスの専用道を作ったらどうなるか」などの実験がスピーディーにできるようになります。
※ビルディング インフォメーション モデリングの略称。読み方はビム
新モビリティ社会 自家用車以外でも移動しやすいまちへ
構想を推進する共同事業体「広島大学スマートシティ共創コンソーシアム」は、下図の12団体・企業で構成。コンソーシアムが目指す世界観の一つに「自家用車がなくても移動しやすいまちづくり」があります。
左図のように、さまざまなモビリティ(移動)サービスを地域全体に整備することで、利便性がぐっと高まります。車の排気ガスが減ることで、構想の中の一つ「脱炭素社会」にもつながります。
広島大学スマートシティ共創コンソーシアム
広島大学、東広島市、住友商事、ソフトバンク、フジタ、三井住友信託銀行、中国電力、復建調査設計、ダイキン工業、サタケ、日産自動車、イズミ
人をつなげるアプリ 今は学生向け、将来は市民向け
今後、先端技術を使った新サービスが地域で使われるようになった時、プラットホームとなるのがアプリ。実証実験として、広島大学の学生、教職員を対象にした「TGO(※)アプリ」が4月3日にリリースされます。
掲示板のように情報を掲載することができ、その情報に対してコメントもできる。コロナ禍で希薄になったコミュニティーを活性化することと、さまざまな研究をする人が多角的につながることでベンチャー企業が誕生することなどを目的としています。
2024年度からは地域展開を計画。「実証実験で効果や課題が見えてきます。しっかり分析し、地域で役立つアプリにしていきます」と開発者。
※Town & Gown Officeの頭文字
技術に触れ合うイベント 子どもも大人も興味津々
市と大学をつなぐ「Town & Gown Office(タウン・アンド・ガウンオフィス、以下TGO)」は3月4日、広島大学東広島キャンパスのミライクリエで地域交流イベントを初めて開催しました。
共創コンソーシアムに参画する企業が取り組んでいることや技術を知ってもらうことが目的。4足歩行ロボットの実演やエアロバイクによる発電体験など、子どもから大人までが興味深く見たり体験したりしていました。
TGOとイベント参加者による意見交換会もありました。地域交流イベントは今後も開催していく予定。
【TGOに素朴なQ】Town & Gown 構想に市民の声は生かされる?
【A】はい、地域の住民や企業の皆さんの声を生かしながら構想を進めていきます。今後、地域の皆さんと一緒に話し合う場「(仮称)リビングラボ」を設置する予定です。開設までも、意見や問い合わせは以下で受け付けています。気軽にお電話ください。
東広島市政策推進監
082(420)0917
Town & Gown Office
082(424)4457