文 東原理恵子
写真 井川良成
東広島市高屋町宮領の畑でレンコンの収穫が始まった。県と市が連携して誘致したカワカミ蓮根(本社・熊本県、川上大介代表取締役社長)が昨年から育てており、今年が初出荷。
農地は約8・5㌶。水面から2㍍にも伸びた葉を刈り、ホースで水を出しながらレンコンを収穫していく。作業は3月まで続く。
レンコンの品種は、同社のオリジナルブランド「幸祝(こうしゅく)」。真っ白で甘味が強く、シャキシャキとした食感とえぐみの少なさが特徴。レンコン栽培では日本で初めて農業生産工程管理の国際認証「グローバルGAP(ギャップ)」に認められており、2021年の東京オリンピックの選手村での食事にも使用された。
川上社長によると、東広島は熊本より最低気温が低いため害虫が少なくレンコンを育てやすいという。農地は来年、14㌶に拡大する計画で、将来的には20㌶を目指すという。
スタッフの得意を生かす
同社は1992年、熊本市に設立。年間1000㌧以上を出荷する日本有数のレンコン生産農家。
生産を支えるスタッフは、ほとんどが農業経験ゼロからのスタートだという。30代、40代が多く、SNSでは作業の様子やレシピなどを楽しく配信しており、職場の元気さが伝わってくる。
経営理念は「自律と共創」。基本の栽培を学んで自信をつけたら、本人の得意を生かした取り組みを後押ししていく。熱帯魚が好きな人は、栽培で使用する水や土の改良、歌手だった人は社歌を作るなど、若手から生まれてくるアイデアを大事にしている。
東広島でも若手の育成に力を入れる。「やってみたいと言ったことは何でもサポートをしたい」と川上社長。