東広島市と呉市の2014年~24年までの10年間の人口推移と年齢別人口の割合を、日本の人口推移、年齢別人口をグラフで表してみた。
東広島市では、2014年に18万3312人だった人口が、24年には18万9550人と6238人増えている。生産活動を支える生産年齢(15歳~64歳)人口は137人増えている。
呉市の人口は、東広島市と逆の右肩下がりの推移をたどる。人口は10年間で3万3307人の減少。東広島の人口を上回ってはいるものの、生産年齢人口では、10年間で2.8%減少。生産年齢人口では、東広島市が上回っている。
日本の人口は少子高齢化に伴い、減少の一途をたどり、生産年齢人口の減少は加速している。呉市の人口推移を日本の人口推移は重ね合わせることができる。半面、東広島市の人口推移は右肩上がり。生産年齢人口は日本の59.5%を1.8は、人口が伸びている数少ない自治体の一つで、若い世代が多い都市である。
人口戦略会議では、2050年の人口を日本が1億468万人、東広島市は17万9511人、呉市は12万9511人と推計。それらに基づき、全国の自治体の「持続可能性」を分析している(左下段参照)。
人口減少、少子高齢化は、経済成長の鈍化を招き、過疎化を進展させる可能性がある。東広島市では、2030年を目標年次に、都市計画である「第五次総合計画」を20年に策定。今年度中に改訂版を策定予定。国も「デジタル田園都市国家構想総合戦略(2023年改訂版)」を23年12月に策定。(左上、中段参照)。私たちは20年後、30年後にどのような景色を見ているのだろうか―。
第五次東広島市総合計画(東広島市)
第五次東広島市総合計画は、東広島市の未来を形作るための包括的な計画であり、経済、社会、環境、文化など、さまざまな側面からの発展を目指す都市計画。
「仕事づくり」「暮らしづくり」「人づくり」「活力づくり」「安心づくり」 の 五つの柱で構成。
「仕事づくり」 知的資源と産業力を活かし、多様な仕事が生まれるまちを目指す。企業、大学、研究機関の連携を強化し、中小企業の支援、企業の投資促進、農林水産業の活性化、観光振興などを推進。
「暮らしづくり」 自然と利便性が共存する魅力的な暮らしのあるまちを目指す。拠点地区の充実、生活交通の充実、快適な生活環境の形成、豊かな自然環境の保全、市民協働、多文化共生などを推進。
「人づくり」 誰もが夢を持って成長し、活躍できるまちを目指す。人権尊重、男女共同参画、教育・保育の充実、質の高い学校教育、人材育成、生涯学習などを推進。
「活力づくり」 学術研究機能や多様な人材の交流から新たな活力が湧き出すまちを目指す。知的資源の活用、多様な人材の活躍促進、都市成長基盤の強化、交通ネットワークの強化、環境に配慮した社会システムの構築、未来を感じるプロジェクトの推進などを目指す。
「安心づくり」 自助・互助・共助・公助によって安心した生活を送れるまちを目指す。災害に強い地域づくり、安全・安心な市民生活、医療体制の確立、健康寿命の延伸、地域共生社会、子育て支援などを推進。
第五次東広島市総合計画(東広島市)https://www.city.higashihiroshima.lg.jp/soshiki/somu/1_1/soukei/25954.htmlより、本紙(The Press)作成。
デジタル田園都市国家構想総合戦略 (2023年改訂版)内閣府
デジタル田園都市国家構想総合戦略の基本的考え方は、テレワークの普及や地方移住への関心の高まりなど、社会情勢がこれまでとは大きく変化している中、今こそデジタルの力を活用して地方創生を加速化・深化し、「全国どこでも誰もが便利で快適に暮らせる社会」を目指す、ということである。地方創生のための、施策の流れは、以下のようになる。「デジタル実装の基礎条件整備として、デジタル実装の前提となる取り組みを国が協力に推進、地方のデジタル実装を下支えする。そのうえで、デジタルの力で地方の社会課題解決に向けた取り組みを加速化・深化させ、地方に仕事をつくる、人の流れをつくる、結婚、出産、子育ての希望をかなえる、魅力的な地域をつくる。」
デジタル田園都市国家構想総合戦略 (2023年改訂版)内閣府https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/digital_denen/index.htmlより、本紙(The Press)作成。
人口戦略会議の分析リポート
人口戦略会議は、移動傾向が一定程度続くとの仮定(移動仮定)のもとで推計した人口に基づき、全国の地方自治体の「持続可能性」を「自然減対策」と「社会減対策」の両面から分析し、自治体を以下に区分している。
A.自立持続可能性自治体/人口減少が少なく、持続可能性が高い。
B.ブラックホール型自治体/人口増加を他地域からの流入に依存し、出生率が低い。
C.消滅可能性自治体/移動仮定で人口が大きく減少する。
D.その他の自治体/上記に該当しない自治体(東広島市、呉市)。
全体の状況として、自立持続可能性自治体は少なく、消滅可能性自治体は全体の43%を占める。多くの自治体で自然減対策と社会減対策の両方が必要としている。
人口規模別の状況として、人口規模の大きい自治体は自然減対策が、小さい自治体は社会減対策と自然減対策の両方が必要としている。
結論として、各自治体の人口特性には大きな違いがあり、それぞれの実情と課題に応じた、自然減対策と社会減対策を組み合わせた対応が求められる。少子化対策だけでなく、出生率向上に向けた取り組みが重要であるとしている。
人口戦略会議の分析リポートhttps://www.hit-north.or.jp/information/2024/04/24/2171/より、本紙(The Press)作成。