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シニアと健康 高齢者に多い目の病気は? 白内障、加齢黄斑変性、緑内障に大別 眼科医 二階堂寛俊医師に聞く

  • 2024/10/13

 目は体の中で重要な部位です。ただ、高齢になると目のトラブルに不安を感じている人も多いでしょう。東広島地区医師会理事で眼科医の二階堂寛俊医師に、高齢者に多い目の病気や予防法などについて話を聞きました。10月は目の愛護月間です。(日川)


二階堂寛俊医師
二階堂寛俊医師

 高齢になって目が見えにくくなる代表的な病気としては、「白内障」「加齢黄斑変性」「緑内障」があります。



白内障 症状と治療

 白内障は、カメラに例えるとレンズにあたる水晶体が濁ってしまう病気です。多くは加齢で進行し、60歳以上になるとほとんどの人にみられます。
 最初の症状は、光をまぶしく感じたり、逆光の時見えにくくなったりすることが多いようです。

このような症状が現れたら、眼科を受診してください。
 白内障は手術をすれば視力が回復します。手術は、濁った水晶体を取り出して、人工のレンズ(眼内レンズ)と置き換えます。短時間で終わり、日帰りで行われることがほとんどです。手術のタイミングは、患者さんそれぞれで異なります。もっと見えるようになりたいと思った時が手術の目安です。
 眼内レンズには、多くの種類があります。乱視を矯正するものや、多焦点眼内レンズという遠近両用のレンズもあります。レンズの種類によって良い点、悪い点があり、すべての人に使えるものではありませんので、眼科でご相談ください。


加齢黄斑変性 症状と治療

 加齢黄斑変性は、加齢に伴い、網膜の中心にある黄斑に異常が起きて視力が低下する病気です。喫煙が最大の危険因子で、受動喫煙でも悪化します。

 自覚症状としては、まっすぐな線がゆがんで見えることが始まりです。しかし、片目がゆがんで見えても反対の目に異常が無ければ、感じない人が多く、発見が遅れることになります。片目が病気になった場合は、片目を隠してみるとゆがみを感じることができます。進行すると徐々に視力が下がっていったり、出血して一気に見えなくなったりします。
 加齢黄斑変性は、進行すると視力の回復は難しくなります。できるだけ早期に発見して病気の進行を食い止めることが大切です。眼底検査をすると、自覚症状が出る前に発見することができます。
 治療は、薬物治療が主ですが、場合によってはレーザー治療や手術を行なうことがあります。


緑内障 症状と治療

 緑内障は日本人の失明原因の第一位の病気です。目の奥にある視神経に異常が起こり、視野が欠けていく病気です。しかし、視野が欠けても多くの場合何も感じないので、自分で分かったときには、すでに失明に近い状態になっているということがあります。
 緑内障は、40歳以上で20人に1人、70歳以上では10人に1人がり患しています。しかも緑内障にかかっている人の5人に1人しか治療を受けていません。5人のうち4人は自分が緑内障にかかっていることを知らないのです。
 緑内障は、通常何年もかけてゆっくり視神経が障害されていきます。一度障害された視神経は二度と回復することがありません。ですから、できるだけ早く発見して病状を悪化させないことが重要です。早期発見できれば、通常は一生視力を維持できる病気です。
 緑内障には、種類がたくさんありますが、多くの場合は目薬での治療になります。場合によっては手術を行なうことがあります。
 早期発見が大事な病気なので、40歳を過ぎたら眼科で検査を受けることをお勧めします。



高齢者に多い目の病気

白内障
光をまぶしく感じる。逆光のとき見えにくい。白っぽくかすんで見える

白内障

加齢黄斑変性
モノのまっすぐな線がゆがんで見える。進行すると視野の中心が見えにくくなる

加齢黄斑変性

緑内障
進行するまで自覚症状がほとんどない。進行すると視野が少しずつ欠けていく

緑内障


処方箋は?アイフレイルチェックで早期発見を

 白内障、加齢黄斑変性、緑内障はすべて老化が関係している病気です。老化を止めることはできませんが、重大な状態になる前に発見して深刻な事態を起こさないようにすることが大切です。
 年齢とともに目が弱っていくことをアイフレイルと呼ぶことをご存知でしょうか。日本眼科医会では、2021年からアイフレイル対策活動を始めています。〝目の健康寿命を延ばそう〟という取り組みです。目が見えなくなって大変な人生になってしまうことを防ぐだけでなく、一生涯にわたり読書、運転、スポーツ、趣味などの人生の楽しみ、快適な日常生活を維持することも目標にしています。日常生活でふと気付いた目の不調を〝歳のせいだから仕方ない〟と片付けないで、ご自身の目のことを考えてみてください。
 2021年の全国アンケート調査では、健康面で不自由に感じていることは、47.7%の人が目に関することを挙げていて、2番目の足腰、3番目の歯を抑えて、目の悩みが最も多いという結果が出ています。しかし、目に自覚症状がある人でも3年以内に目の検査を受けた人は52.3%で、〝歳のせい〟と片付けている人が結構多いようです。
 右のアイフレイルチェックリストを見てください。二つ以上当てはまると目の病気の可能性が高いので、当てはまる人は眼科に受診してみてください。目にはいろいろな病気がありますが、初期には大した症状がないことが多くあります。結膜炎で眼科に行くと、緑内障が分かったというようなことは珍しくないのです。
 一生快適な生活を送るために、ぜひ目のことを考えてみてください。



アイフレイル自己チェック

□目が疲れやすくなった

目が疲れやすくなった

□夕方になると見えにくくなることがある

夕方になると見えにくくなることがある

□新聞や本を長時間見ることが少なくなった

新聞や本を長時間見ることが少なくなった

□食事の時にテーブルを汚すことがある

食事の時にテーブルを汚すことがある

□眼鏡をかけてもよく見えないと感じることが多くなった

眼鏡をかけてもよく見えないと感じることが多くなった

□まぶしく感じやすい
□まばたきしないとはっきり見えないことがある
□まっすぐの線が波打って見えることがある
□段差や階段で危ないと感じたことがある

段差や階段で危ないと感じたことがある

□信号や道路標識を見落としたことがある

 二つ以上当てはまった人はアイフレイルかも?

日本眼科医会の資料から



加齢黄斑変性を自己チェックしよう

加齢黄斑変性チェックシート表
加齢黄斑変性チェックシートの使い方

当てはまっていたら眼科クリニックを受診しましょう

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プレスネット編集部

広島県東広島市に密着した情報を発信するフリーペーパー「ザ・ウィークリープレスネット」の編集部。

東広島の行事やイベント、グルメなどジャンルを問わず取材し、週刊で情報を届ける。

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