東広島市で関連死を含めると20人が亡くなった2018年7月の西日本豪雨災害。線状降水帯による猛烈な雨で市内の多くの箇所で土砂災害が発生。人の命を奪ったほか、人家やインフラ施設などにも甚大な被害をもたらした。改めて当時の状況を写真やグラフで振り返り、災害を教訓に東広島市などが取り組んできた防災対策をまとめた。(日川)
このときあなたは… 2018年7月4日から13日までの東広島市の動き
本紙2018年7月19日号掲載
【7月4日】
21:37
雷注意報発表
【7月5日】
8:08
大雨注意報発表
8:24
注意体制 総括班1班
16:33
洪水注意報発表
17:30
災害対策本部設置
【避難勧告】河内町入野(入野川付近)
18:43
洪水警報発表
【7月6日】
2:41
洪水警報から注意報に切り替え
5:40
大雨警報(土砂災害)発表
9:00
第1回災害対策本部会議
10:06
洪水警報発表
17:30
【避難勧告】志和町志和西、同町志和堀、福富町竹仁、安芸津町三津、同町風早、同町木谷
【避難準備・高齢者等避難開始】避難勧告対象地区以外の東広島市全域
17:50
土砂災害警戒情報 発表
18:50
【避難勧告】東広島市全域
19:40
大雨特別警報(土砂災害、浸水害)発表
19:45
【避難指示(緊急)】東広島市全域
【7月7日】
7:30時点
自衛隊派遣要請=20人を安芸津地区木谷へ派遣予定
緊急消防援助隊派遣予定
10:50
特別警報から大雨警報(土砂災害)警報に切り替え
14:30時点
緊急消防援助隊派遣=消防署到着
災害救助法の適用が決定
18:30時点
自衛隊派遣要請=20人到着、三永で対応中、25人到着、安芸津へ移動中
緊急消防援助隊派遣=到着
22:19
洪水警報から注意報に切り替え
【7月8日】
7:30時点
災害派遣医療チームDMAT 東広島医療センターが拠点病院に指定
9:23
洪水警報発表
12:30時点
自衛隊派遣要請=25人到着、安芸津で対応中
14:45
洪水警報解除
23:32
雷注意報解除
【7月9日】
4:00
土砂災害警戒情報 解除
4:23
大雨警報(土砂災害)から注意報に切り替え
5:30
【避難指示解除】東広島市全域
10:06
大雨注意報解除
16:00時点
自衛隊派遣要請=中河内26人(人命救助→孤立地域の生活支援)、下河内地区道路偵察済み、支援物資の要望聴取済み、中河内21人(下三永→中河内→竹原)(竹原25人、安芸津→竹原)
緊急消防援助隊派遣=中河内27人(人命救助終了)、蚊無32人(人命救助終了)
広島県職員応援(2人)7月9日~1人、7月10日~1人
愛知県職員応援(8人)7月10日~8人
【7月10日】
8:00時点
自衛隊派遣要請=孤立地域の生活支援(下河内地区、岩伏地区、八本松地区)、行方不明者捜索(下河内~水没車両)
16:00時点
自衛隊派遣要請=孤立地域の生活支援(下河内地区、岩伏地区)、行方不明者捜索(下河内~水没車両)(消防と警察、自衛隊が合同で捜索。午後から消防団合流)
自衛隊派遣要請=孤立地域の生活支援24人
【7月11日】
8:00時点
(下河内地区)
災害派遣医療チームDMAT=帰隊
14:28
【避難指示】八本松町正力(川上東部保育所近辺)
15:24
【避難指示】河内町中河内・西条(にしじょう)
17:32
【避難指示解除】河内町中河内・西条
16:00時点
TEC-FORCE(緊急災害対策派遣隊)
【7月12日】
8:00時点
自衛隊派遣要請7月11日=孤立地域の生活支援(下河内地区24人)、7月11日=FM中継所支援(黒瀬12人)
TEC-FORCE(40人)
17:00時点
自衛隊派遣要請=孤立地域の生活支援(下河内地区10人)
TEC-FORCE(16人)
【7月13日】
9:00時点
自衛隊派遣要請=救援物資本部支援(物資輸送5人)、避難所支援(5人)
17:00時点
愛知県職員応援(2人)7月13日~2人、広島県警メイプル隊7月13日~3人2チーム
※上記の他に1日2~3回災害対策本部会議を開催。自衛隊派遣要請あり
西日本豪雨災害以後の行政の主な防災対策
2018年
西日本豪雨災害発生
2019年
東広島市が防災情報システムの構築と運用開始
東広島市が地域防災リーダー養成開始
2020年
東広島市が災害備蓄計画策定
防災士資格取得補助制度の創出
2021年
東広島市が、防災情報機関の発信する気象や被災の情報を一元化し、リアルタイムで情報を共有する新総合防災システムの導入を決定
2022年
東広島市内の全48自治協に自主防災組織が結成
県と東広島市は開発を促進する市街化区域内にある土砂災害特別警戒区域(レッドゾーン)を、開発を抑える市街化調整区域に編入する「逆線引き」の取り組みを始めた
2023年
東広島市が新総合防災システムの運用開始
2024年
東広島市が避難所遠隔開設システムの運用開始
~2023年度
県が東広島市志和町の小野川など市内計17カ所の砂防えん堤を整備
豪雨災害…あのとき の経験、生きていますか
■特別警報が出ていたのに軽く考え、習い事の送迎をしてしまった。車が3分の1、水に漬かって怖い思いをした。もう絶対に無理はしない。(39歳女性、西条)
■オール電化なので、停電に備えてガスコンロを常備しておく。特別警報が出たとき、避難時に必要最低限の物が分からず戸惑った。結局大丈夫だろうと思い、避難さえしなかった。(36歳女性、西条)
■職場の災害時のルールがなく、警報・特別警報の中、通常通り就業した。もう少し帰るのが遅かったら自宅にたどり着けなかった人もいた。土砂降りでも退社できず、特別警報の中、皆探り探り出勤したので、今後どうすべきかなど話せたらと思う。(42歳女性、西条)
■会社からの帰りに増水に遭い怖い思いをしたので、早めの帰宅判断をした方が良かった。(47歳男性、西条)
■子どもに不自由がないよう、食料は備蓄が必要だと感じた。自分の子どもは食物アレルギーがあるので、薬や食べ物の確保をしておかなくては…と再確認しました。(31歳女性、西条)
■避難勧告があってもすぐに避難場所へ逃げなかった。結果、危ない場所で不安な一夜を過ごした。朝、JRが午後から運行を中止すると情報を出していたのにそのまま会社に残って帰れなかった。今後は会社の指示を待たずに自分の経験と判断で行動する。(40歳男性、西条)
■大雨から5日後、ようやく落ち着いてきたなと思っていたら緊急避難指示が出て、もう家族と会えないかと思った。町中がパニック状態だった。(45歳女性、八本松)
■幸い被害がなくライフラインも途絶えなかったが、災害に対する意識が低かったと感じた。食料も水も備蓄が足りなかったので、今後に備えたい。ガソリン、食料、現金を下ろすなど、振り回されてはいけないと思いつつ、あたふたしてしまった。いざとなったら何が必要か考えておくべき。(42歳女性、西条)
■ガソリンスタンドの渋滞と20㍑までの制限があったこと、コンビニの商品が何もなくなっていたことに焦りました。断水にはなっていないけど、水の確保がいかに大切か痛感した。(37歳女性、八本松)
■避難指示が出ると、いろいろな人から一斉にSNSで連絡が来た。どこにどう避難すればいいのか普段から家族で話し合っていないと行動できないと分かった。(40代女性、八本松)
■避難指示が出ても、何をすればいいのかわからず、とりあえず自宅待機した。防災グッズをそろえておくべきだった。東広島ハザードマップをすぐ出せる場所に置いておいたのはよかった。避難場所も浸水地域で困った。(43歳女性、西条)
■食料の備蓄もないし、子どもの広島市内への通学方法も考えたことがなかったので焦った。いろんなパターンで想定しないといけないなと改めて感じた。(45歳女性、西条)
ツイッターなどSNSで情報を知り避難したが、後で自分は避難対象地区ではないと知った。情報がいろいろ交錯し焦った。(40代女性、八本松)
■断水が長期化されそう。ポリタンクなどが不足しているようなので普段から用意しておこうと思った。(59歳女性、河内)
■こんなにひどい状況になるとは思わず少しお酒を飲んでしまい車で避難することが不可能だった。食料の買い置きもしておらず、今食材が手に入らなくて困っている。災害に備えて持ち出すものをまとめておいたり、飲料水や簡単に食べられるものを準備しておきたい。この状態で断水や停電があったらと思うと非常に怖い。(41歳女性、西条)
本紙2018年7月19日号掲載読者の声より