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(MON)

急増するSNS型投資詐欺 県内警察署管内東広島署が被害件数ワースト1

  • 2024/10/14

 交流サイト(SNS)を使って投資などを名目にお金をだまし取る詐欺事件が急増している。東広島署管内では今年に入って8月末現在で27件の被害が発生。被害額は2億8886万円に上る。被害件数は県内警察署管内トップ、被害額は同2位だ。東広島署に話を聞きながら、SNS型投資詐欺をまとめた。(日川)



手口の特徴

 東広島署の話を分析すると―。SNSや動画配信サイトのバナー広告(投資勉強会など)やダイレクトメッセージなどを通じて被害者に近づき、被害者と会うことなく連絡を重ね、親近感や信頼感を抱かせる。著名人をかたり、LINEグループに招待して、信頼関係を築くこともある。
信頼関係を構築した後は、投資アプリへの登録や指定口座への現金の振り込みを求められ、振り込み後はアプリやライン上で「配当金が増えた」ことを伝えられ、これを信用した被害者は、ネットバンキングなどで、さらに振り込みを重ねる。 ところが、現金を引き出そうとすると、手数料がかかるなどの理由で拒否され、連絡が一切通じなくなってだまされたことに気が付くパターンだ、という。



なぜだまされる?

 東広島署管内では、被害者は男女を問わず40歳代から60歳代が多い。働き盛りである程度、貯蓄があり、将来を見据えて、お金を殖やしたい、という世代だ。被害が増加する背景には、国が後押しする投資への関心の高まりとインターネットで気軽に投資ができるようになったことがある。
 では、なぜだまされるのか。被疑者は少額の投資から要求するケースが多く、利益が出ていることを示すため、被害者の口座にだまし取ったお金の一部を振り込み、被害者を信用させる。そのうえで、投資額を上げさせていき、偽アプリ内で利益が出ているように見せる。信用した被害者にしてみれば、偽アプリ内で利益が出ていれば疑わないことに無理もないし、多額の投資もためらわないようになる。
 「投資」であることから、被害者にしてみれば、すぐに出金するよりは、アプリ上でまとまった利益が出てから引き出そうとすることが多いだろう。投資の盲点を突いた巧妙な手口でだまされるのだ。LINEの偽グループでは、「これだけ入金して、こんなに儲(もう)かりました」といった投稿のやりとりがなされ、被害者の投資意欲を高めていくように誘導する、という。



被害にあわないために

東広島署では
①SNS型投資詐欺の手口を知ること
②金融商品を取り扱う業者が金融庁登録業者か確認すること
③第三者に相談すること―の3点を挙げる。
 投資詐欺は昨年から表面化した新しい手口。日頃のメディアの報道を通じて手口を理解しておくことが大切だ。②については、投資などの金融商品を扱う業者は、金融商品取引業の登録が必要で、入金前にインターネットで登録の有無を確認することだ。③については、すべてのことがインターネット上でやり取りできるため、家族や友人など第三者が介在する難しさはあるが、「第三者に相談することで、特殊詐欺を含めた、こうした詐欺の9割は未然に防げる」(東広島署)ことを忘れてはならない。
 東広島署の話では、だまされたことに気が付いても、振り込んだ金が戻ってくることはほとんどない。泣き寝入りをしないためにも、「投資」と「SNS」のワードがそろったら、詐欺の可能性が高く、安易に誘いに乗らないことだ。
 東広島署管内のSNS型ロマンス詐欺の被害件数5件、被害額は3462万5000円(今年8月末現在)。被害件数、被害額とも投資詐欺には及ばないが、男女問わず被害に遭っており、注意が必要だ。



グラフで読み解くSNS型投資詐欺


主な手口

 被害者にSNSなどを通じて近づき、被害者と会うことなく、SNS上で連絡を重ねて信頼関係を築き、被害者を投資アプリに誘導し、指定した口座に振り込みなどの方法で金銭をだまし取る。アプリ上では、利益が出ているように虚偽の表示をするのが特徴。著名人をかたり、LINEグループに招待し、信頼関係を築く手口もある。

LINEで連絡を重ね、被害者を投資アプリに誘導しているやり取りの実例
LINEで連絡を重ね、被害者を投資アプリに誘導しているやり取りの実例


東広島署管内の被害の実態(2024年1月~8月末現在)

被害件数 27件 被害総額 2億8886万円
件数は県内警察署管内ワーストワン 被害総額は県内警察署で2番目の多さ



なぜ東広島市が多いのか(考えられる理由)。プレスネット調べ

●都市化の進展で不動産の売買が活発。不動産を売却などして得た資産を持っている人が多い
●投資やインターネットに関心・精通する30歳代~60歳代の人口割合が高い
 つまり余裕資金を持ち、投資に関心を持つ世代が多い都市だからターゲットになりやすい



東広島署管内で、被害にあった人の実例

約1680万円の被害(40歳代会社員男性)

約1680万円の被害(40歳代会社員男性)

 昨年10月上旬、スマホで閲覧中のウェブサイトに「FX投資、株で儲ける」などの広告が表示。その後、投資用アプリのダウンロードを指示された。
 そのSNSでは「株が低迷していると為替が動きやすくFXで稼ごう」などと説明され、昨年11月下旬までの間に、口座開設料金、投資名目で現金をだましとられた。サイト上の儲けを出金する際にも追加料金が必要などとうたわれたことで不審に思い、今年1月に警察に届け出た。



約3510万円の被害(60歳代会社員女性)

約3510万円の被害(60歳代会社員女性)

 今年4月頃、SNS上で知り合った人物から「投資学習」をうたうSNSグループに招待された。そのグループ内では投資の成功体験が語られており、投資への興味、関心を持つようになって投資アプリに個人情報を登録した。
 FX投資、原油先物取引名目で送金し、アプリ上に約1億6000万円の利益が出ていたことから出金しようとすると、「さらに1500万円振り込めばボーナスがもらえるし、出金はできない」と言われたことを不審に感じ、弁護士に相談のうえ、警察に届け出た。



被害にあわないための対策

①手口をよく知る
②金融商品取引業業者か確認する
③取引前に第三者に相談する

陶酔詐欺が増えている事をアピールするチラシ
陶酔詐欺が増えている事をアピールするチラシ


特殊詐欺とSNS型投資詐欺の違い

●特殊詐欺の多くは、電話で被害者と接触し、「話」が本当であると誤信させ、比較的短期間で金銭をだまし取る。
●SNS型投資詐欺は、SNS上で被害者と信用関係を築いたうえで、比較的中長期間で金銭をだまし取る。SNS型投資詐欺は、特殊詐欺に比べて被害額が高額になる傾向にある。
※どちらの詐欺も被害者と対面することなく、被害者をだますことは共通する。

「投資」「SNS」のワードがそろったら 東広島署に相談を tel.082-422-0110

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