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(MON)

直面する現代の災害リスク 猛暑・豪雨・台風被害甚大

  • 2024/09/17

 昔に比べると災害が増えているのでは、と感じる読者は多いだろう。近年は、気温の上昇に伴って、強い台風や豪雨の頻度が増し、毎年のように多くの被害が出ている。東広島市とて例外ではない。災害の激甚化が進んでいる、といわれる中、広島地方気象台の佐伯直之防災気象官に話を聞きながら、現代の災害リスクについてまとめた。(日川)



令和2年7月豪雨 熊本県八代市 球磨川(資料提供/広島地方気象台)
令和2年7月豪雨 熊本県八代市 球磨川(資料提供/広島地方気象台)
令和3年7月の大雨 静岡県熱海市の土砂災害(資料提供/広島地方気象台)
令和3年7月の大雨 静岡県熱海市の土砂災害(資料提供/広島地方気象台)

 グラフ1は、東広島市の年平均気温の推移だ。地球温暖化の進展で、約40年間で1度程度上昇している。最高気温が35度以上となる「猛暑日」も、1994年を除いて2000年までは、なかったのに対し、2000年以降は猛暑日となる日が目立つようになった。(グラフ2)


 佐伯防災気象官は「平均での1度の上昇は大きな数値。昔と比べるとかなり暑くなっている。この気温の上昇が、強い台風や豪雨の増加と関係している」と警鐘を鳴らす。
平均気温が上昇すると、海や地面から蒸発する水分が増加し、大気中に雨のもとになる水蒸気をより多く含むので、大雨が発生する頻度も高まるというメカニズムだ。気温の上昇は、雨の降り方にも変化をもたらす。年間降水日数は減少している半面、短時間の大雨は増えているのだ。(グラフ3)

 獅子おどしをイメージしてみよう。大気が水蒸気を多く含むようになると、水をためる獅子おどしの容量が増え、一度に落ちる水が増えるが、獅子おどしが倒れるペースは遅くなる。つまり大雨は増加するが雨日数は減少、雨が降れば短時間の大雨となる可能性が高くなるといえる。

 また、海面水温の上昇は、水蒸気の供給をエネルギー源に発達する強い台風の頻度も増えることを意味する。2000年以降、広島県付近では、豪雨災害が毎年のように発生していることが、それらの現実を如実に物語る。「気温の上昇が激甚化のリスクを高めている」(佐伯防災気象官)といえよう。

 近年は「線状降水帯」にも注意が必要だ。2014年の広島豪雨災害から指摘されるようになり、西日本豪雨災害(18年)では甚大な被害をもたらした。大気中の水蒸気の増加で、積乱雲が次々と組織され、大雨をもたらす現象で、気象庁では、「災害の危険度が急激に高まる」として21年から線状降水帯の発生を知らせる情報を発表するようになった。今年度からは、大雨の可能性を府県単位で、半日前から呼びかけるようにした。

 では、激甚化する災害リスクにどう対処すればいいのか。激甚化を見据えて、気象庁では段階的に情報を発表するようになったことを踏まえ、佐伯防災気象官は「豪雨や台風は情報を早く知ること。自分のこととして早めに対応することが大切」と話す。日頃の備えでは、「地震も含めて住んでいる場所が、何の災害に弱いのか。ハザードマップなどを活用しながら知っておくことも重要」と呼びかける。



過去10年の主な自然災害

■2014年 広島豪雨など
 広島市北部の安佐北区・安佐南区で8月、豪雨により大規模な土砂災害が発生、死者77人に上った。9月には長野県の御嶽山が噴火。多くの登山客が巻き込まれた。死者・行方不明者63人に上った。

■2015年 関東・東北豪雨
 台風や前線の影響で西日本から北日本にかけて9月9日から11日にかけて大雨となった。特に線状降水帯が次々と発生した関東から東北地方では記録的な大雨となり、死者・行方不明者は20人に上った。

■2016年 熊本地震など
 4月16日に熊本県と大分県の広範囲で震度6強~6弱(最大震度7)を観測する熊本地震が発生。死者は273人に上った。8月には、東北の太平洋側に上陸した台風と北海道地方に停滞した前線の影響で農作物に甚大な被害をもたらした。

■2017年 九州北部豪雨
 7月5日から6日にかけて、対馬海峡付近に停滞した梅雨前線に向かって暖かく湿った空気が流れ込んだ影響で、九州北部地方で記録的な大雨となった。

■2018年 西日本豪雨
 西日本を中心に7月に記録的な大雨となり、広島県、岡山県、愛媛県などに甚大な被害をもたらした。河川の氾濫、土砂災害などが相次ぎ、鉄道の運休など交通障害も発生した。死者・行方不明者は271人に上った。

■2019年 九州北部豪雨など
 8月下旬、長崎県から福岡県までの広い範囲で長時間にわたる線状降水帯が発生。総降水量が800㍉を超えるなど記録的な大雨となった。9月と10月には、ニつの台風が関東地方などを襲い甚大な被害をもたらした。

■2020年 令和2年7月豪雨
 7月3日から14日までの間に九州を中心に西日本から東日本の広範囲にわたり長時間の大雨が発生。この間の総降水量が年降水量の半分を超える地点が発生するなど複数の地点で観測記録を更新。死者・行方不明者は88人に上った。

■2021年 熱海市土石流災害
 7月2日から3日にかけ、静岡県の複数の地点で72時間降水量の観測史上1位の記録を更新。熱海市では大規模な土石流で多数の人的被害が発生した。8月には全国各地で記録的な大雨となり、河川の氾濫などが多発。

■2022年 福島県沖地震
 3月に福島県沖を震源にM7・4の地震が発生。宮城県蔵王町や福島県相馬市、南相馬市、国見町で最大震度6強を観測。死者4人、全壊224棟、半壊4630棟などの被害が出た。

■2023年 能登半島地震
 5月に石川県能登地方を震源とするM6・5の地震が発生し、最大震度6強を観測した。さらに24年1月には輪島市などで最大震度7を観測、石川県に甚大な被害をもたらした。

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プレスネット編集部

広島県東広島市に密着した情報を発信するフリーペーパー「ザ・ウィークリープレスネット」の編集部。

東広島の行事やイベント、グルメなどジャンルを問わず取材し、週刊で情報を届ける。

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