幼児期の歯の変化
乳歯から永久歯への生え変わりは成長の証し。しかし、乳歯が4歳よりも前に抜け始めたら、骨の成長に関わる病気「低ホスファターゼ症(HPP)」のサインかもしれません。HPPは症状が進行することがあるため、できるだけ早く診断し治療を始めることが大切です。東広島市歯科医師会の上野彰子院長に、HPPの特徴や成長への影響などについて聞きました。(梶江)
Q1.低ホスファターゼ症って?
強く健康な骨を作るために必要なアルカリホスファターゼ(ALP)という酵素の働きが弱くなり、強く健康な骨が作られなくなる病気です。骨や歯を中心に全身にさまざまな症状が現れます。症状が進行することがあるため、できるだけ早く診断し、適切な管理や必要に応じて治療を始めることが大切です。
Q2.特に注意したい乳歯の早期脱落とは?
HPPの特徴の一つとして、4歳前に乳歯が抜けてしまう「乳歯の早期脱落」があります。通常、乳歯から永久歯への生え変わりは6歳ごろからです。HPPに罹患(りかん)していても気付かないことが多く、4歳前に乳歯が脱落することで病気に気付くことがあります。そのため、東広島市では1歳半、3歳児健診での問診表に、歯がぐらぐらしていないか、抜けてきていないかという質問が加えられています。
Q3.4歳よりも早く乳歯が抜けたらどうする?
乳歯には永久歯が生えるスペースを空けておく役割があります。早期に抜けてしまうと、歯並びやかみ合わせに影響がでます。また、食事や発語機能の獲得時期に影響します。歯がないという見た目の問題に対する心理的な問題もでてきます。
Q4.乳歯が早期に抜けてしまった場合は?
HPPによって早期脱落した歯には下の図のような特徴があります。抜けた乳歯を持って、できるだけ早く小児科または歯科を受診しましょう。HPPの場合、小児科で早期の治療が可能になります。歯科では、小児科と連携しながら、ぐらぐらしている歯を長持ちさせるための歯周治療を行ったり、抜け落ちた乳歯を補う義歯(入れ歯)を作ったりします。
ワンポイントアドバイス
口の健康と体の健康には密接な関係があるため、かかりつけ医を持ち、定期的な歯科受診をすることをおすすめします。お子さんについては、フッ素塗布や検診などで小さいころから歯医者に通っていただくことで、歯医者への苦手意識がなくなると思います。「歯医者は楽しくてきれいにしてくれる場所」として、笑顔で通っていただけるとうれしいです。