5月23日号で掲載した「東広島市議の自己採点」には、読者から大きな反響が寄せられた。自己採点から見えたことは何なのか、議員の仕事(活動)はどうあるべきなのか。現職市議のA氏、元市職員のB氏、政治事情に詳しい市民のC氏が語り合った。(進行はザ・プレス編集長の日川剛伸)
座談会出席者
A氏 現職市議
B氏 元市職員
C氏 政治通市民
自己採点分析
東広島市議会議員が改選後1年間の活動を自己採点
鍋島 勢理氏(未来の風) | 9 |
上岡 裕明氏(清新の会) | 4 |
木村 輝江氏(未来の風) | 9 |
山田 学氏(未来の風) | 10 |
下向智恵子氏(公明党) | 9 |
原田 栄二氏(公明党) | 9 |
上田 秀氏(創志会) | 7 |
向井 哲浩氏(創志会) | 3 |
小池恵美子氏(市民クラブ) | 10 |
中曽 久勝氏(創志会) | 6 |
落海 直哉氏(市民クラブ) | 2.5 |
大下 博隆氏(清新の会) | 10 |
鈴木 英士氏(未来の風) | 7 |
片山 貴志氏(創生会) | 7 |
坂元百合子氏(公明党) | 9 |
景山 浩氏(市民クラブ) | 7 |
田坂 武文氏(清新の会) | 7 |
岩崎 和仁氏(創生会) 評価は有権者にゆだねる |
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中川 修氏(市民クラブ) | 7 |
貞岩 敬氏(清新の会) | 10 |
岡田 育三氏(創志会) | 6 |
玉川 雅彦氏(創志会) | 3 |
北林 光昭氏(清新の会) | 9 |
重森佳代子氏(清新の会) | 10 |
奥谷 求氏(創志会) 精いっぱいまい進。採点は控える |
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宮川 誠子氏(真政倶楽部) 評価は人様がするもの |
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谷 晴美氏(日本共産党) | 10 |
乗越 耕司氏(清新の会) | 10 |
牧尾 良二氏(創生会) | 4 |
石原 賢治氏(市民クラブ) | 6 |
※THE,PRESS5月23日号掲載から抜粋
※掲載は議席番号順
※山田市議は現・真政倶楽部所属。第1回定例会まで未来の風所属
「えー?」というのが率直な思い(A氏)
30人それぞれの個性反映(B氏)
満点に懐疑的な声と注目の声(C氏)
―市議の自己採点を率直にどう感じていますか。
A 「えー?」というのが第一印象。特に10点を付けた人は、抽象的な表現が多く、採点の根拠が分かりづらかった。もう一つ、ある市議からは、まだ任期途中の、いわば道半ばの段階で、10点はありえないだろうという指摘もあった。
B 控え目な人もいれば、そうでない人もいる。30人それぞれの個性が出ているなと。
C 市民からは、10点を付けた人には懐疑的な声の一方で、満点に注目したという声も多かった。それ以外の当たり障りのない採点をした人には、注目が少なかった(インターネットアクセス数による)。今回の記事の面白さは、そこに尽きる。
A 議員の大きな仕事に一般質問や代表(関連)質問がある。その意味で一回も質問をしていない人の高い自己採点は、説得力に欠けるだろう。
B ただ、質問回数だけが議員の評価ではない。質問の中身が重要だし、質問をしなくても、市のまちづくりの将来や市民生活の向上を見通した議員活動をしているかが重要だ。
一方、一般質問についていえば、議員個人の権利からすると、一定の自己主張はいたしかたないが、玉石混交というか、わざわざ本会議で質問をしなくてもいいような内容も散見する。
C 聞こえはいいけれど、国県の問題について市の姿勢を問うとかね。もちろん一般質問には、パフォーマンスも必要だけど、外れているケースも多い。一般質問は演説ではなく質問にしてほしい。
政策提言強化
二元代表の一翼担う議会に(A氏)
議会は重い責任負う自覚を(B氏)
頑張った議員が評価される契機に(C氏)
―6月定例会から一般・代表質問で出た内容を本会議の決議に結び付ける取り組みが始まります。
A 一般質問をしただけで満足するのではなく、発言したことを具現化していく。議会の政策提言能力を高める第一歩になることを期待する。
C 二軸対立の55年体制ではないが、今は執行部を批判、チェックするだけが議員の仕事ではなくなってきている。政策提言は、今後の議員の大事な評価基準になる。前回の市議選で感じたのは、頑張ってきた人の得票が低かったこと。今回の自己採点でも、高評価の議員に切れた人もいると聞く。その意味で政策提言が、頑張っても評価されない議員を是正していくきっかけになればいい。
B 実現可能な政策に集約できるのかがポイントになる。国の比重が高いような政策は、実現が難しいだろう。もう一つ、議会の提言として全会一致に持っていけるのかどうか。これまでの本会議でも賛否が割れた案件は多い。議長の腕の見せ所だろう。
A 「あの議員が質問した内容だから、賛成しない」といった次元の低い嫌がらせのような批判はやめてほしいね。
C 市民も政治家も自己の利権で評価したり投票する人がいるのは当たり前、政治家にも執行部にも清廉潔白を求めていない。清廉潔白はマスコミの常とう句。ある程度妥協しながら、落としどころを探ったり、相互理解を深めたりしていくことが大切だ。
B 議会の意志が一本化することで、職員は仕事の加速化が求められる。議会は、提言をする際、仕事の上乗せの足し算だけではなく、差し引く観点を持つことも必要になる。政策提言をすることは、これまで以上に重い責任を負っているという自覚を持って取り組んでほしい。
A そこは一番大事なこと。二元代表制の一翼を担えるよう、30人の議員が一体(一人)となって、1対1の関係で執行部と対等な関係を築けるよう、議長に伝えたい。
―今回の自己採点記事は、数字を付けることで、政治に無関心な人たちが、市議に関心を向けてほしいという思いもありました。
A 冒頭で指摘したように4分の1の評価しかできなかったという議員もおり、ぜひ、来年、再来年と追跡を続けてほしい。自らを評価することは、自身の成長と反省に気付くことにもなる。
―次回のザ・プレスでは、執行部の代表である高垣広徳市長の自己採点を取り上げます。