中長期的な防災・減災策で安心な暮らしを
地元選出の衆議院議員で総務副大臣の新谷正義さんに、国が進めている政策や、東広島への影響、日頃の活動などを「喜怒哀楽」をテーマに伺いました。 (聞き手/FM東広島パーソナリティー・吉岡直子)
―今回のテーマは「哀」です。現在、新谷さんが感じる「哀」は。
新谷 大雨や台風などの自然災害ですね。
―2018年7月の豪雨で東広島市にも被害が出ました。
その後も、毎年大雨に見舞われています。
新谷 平成30年7月豪雨においては容易に復旧できないと分かり、3か年の予算を組み防災・減災の体制を組んできました。3年が経ち、防災・減災が進んで来てはいるが、まだまだ完全とは言えない。そこで新たに、国土強靭化として5か年の予算を組みました。
―東広島市でもまだ復旧工事が終了していない箇所も見られます。
全国でも復旧が進んでいないところが多いのでは。
新谷 東広島市の皆さんには全力で復旧、復興に取り組んで頂いています。全国的に復旧が追いついていない理由の一つとして、行政が必要な公共工事を削ってきた過去があり、工事を受注する工事業者の数が減り、工事を発注しても引き受ける業者が存在しない状況がありました。公共工事イコール悪とされていた時期があったのですが、決してそうではありません。今、国土交通省で試算しているのが、橋や水道管の老朽化に対してです。目に見えない部分ですので、被害が起きる前に投資をし、メンテナンスをして、最近では長寿命化させる取り組みを行うことで、費用も少なく抑えられると分かってきました。
―なるほど。壊れる前に未然に防ぐことは大事ですね。
新谷 普段あまり気にすることの少ない河川の護岸などもそうです。これまで大丈夫だったというのは通用しなくなってきています。地域の皆さんの同意も得ながら防災・減災の体制を組んでいく必要があると思います。
―地域行政との連携・支援も必要になります。
新谷 3年前の災害では、自治体に全て任せるのではなく、県や国が一緒になって取り組むことの重要性を認識しました。国が担当する事業や費用も大幅に増やして、技術面でも国が前面に出て復旧に取り組んできました。砂防ダムでは、国の費用負担は通常3分の1ですが、半分の2分の1まで増やし、砂防事業の専門家を集めて被災地に送るなどの支援に取り組んでいます。
―新しく西条町寺家にオープンする道の駅が防災道の駅に選定されました。
災害発生時には自衛隊や警察、緊急災害対策派遣隊など救援活動の拠点になる他、救援物資の基地機能も担うことになるとのことですが。
新谷 道の駅が地域住民の安心安全な生活の役に立つ施設になるというのはすばらしいと思います。非常時には
一時避難場所として大型駐車場が生かせるのではないかと考えています。
―工事が進んでいる東広島安芸バイパスも防災のための道路と聞いています。
新谷 思い起こせば、山陽自動車道は不通になり、国道2号線もあちらこちらで寸断され、JR山陽本線も通らなくなり、全ての交通インフラが遮断され陸の孤島になった地域がありました。1本でも多く道路を通しておくことが、地域の安心な暮らしにとって重要だと認識出来ました。予備を確保しておくことが急がれると考え予算も大幅に拡充して来年度末までには完成した姿をお見せできると思っています。