東広島市選出の県議は4人。その役割は重要だが、選挙を除くと、市民が4人と接する機会はほとんどない。4人は県政や旬の問題をどう捉えているのだろうか。読者に代わって「読者が知りたい」同じ質問を4人にぶつけ、思いを語ってもらった。(日川)
※県議の掲載は前回選挙(2019)得票順による
医療や福祉で提言
―県議として4期目です。取り組んできた総括を。
県議ではあるが、基本的には東広島市のまちづくりに軸足を据えて取り組んできた。特に医療や福祉、教育はまちづくりの根幹をなすもので、提言を行ってきた。ただ、まだまだなところも多い。例えば、医療では2次救急医療や小児医療体制は十分とはいえない。本来、医療体制は消防を含め県の責任と機能で取り組むべきことだと思っている。県議としてその思いを県政にぶつけたい。
見えぬビジョン
―湯崎英彦知事の県政はどう捉えていますか。
理念を語ってはいるがビジョンが見えてこない。例えば、県内の観光関連消費額を増やし、1兆円の経済波及効果を目指すとした「瀬戸内・海の道構想」は、いつの間にかトーンダウンしている。明確なプランニングを立てて実行していかないと人はついてこない。
党県連役員は辞職を
―いわゆる「河井夫妻」問題については。両被告の公判が始まり、県内の政治家には被告から現金を受け取ったことを認める人もいます。
個々の問題であり、私が人のことをとやかく言うつもりはない。ただ、自分自身は忸怩たる思いがある。広島の自民党が傷つき、有権者の不信感を招いたのは確かだからだ。今できることは、政界から去れとは言わないが、自民党広島県連の役員はいったん職を辞し、今回の問題についてきちんと総括をした上で、新たな組織を立ち上げることが大事だ。
合同討論会開催を
―前回県議選(東広島市選挙区)の投票率は過去最低の32・51%でした。
県議会が《中二階》といわれるように、市民から遠い存在であることが大きな理由だ。当事者としては悲しい限りだ。各議員が日頃の活動や考えを市民に発信するしかないが、その方法の一つとして、個人的には公選法で禁止されている戸別訪問を開放してもいい、と思っている。もう一つ、県議4人の合同討論会を定期的に開くことも提案したい。新たに選挙に挑戦したい人を加えてもいい。続けていくことが大事だ。
土地活用の施策構築
―これから東広島市発展のために取り組みたいことは何ですか。
一つを挙げれば、土地活用のための大胆な見直しができる施策を進めていきたい。高速道のインターチェンジのある志和町は製造業を中心に100以上の企業が進出しているが、増産で工場を拡張しようにも法律のしばりで農地の転用ができない、と聞く。そうすると企業は市外に移転を考える。市にとっては税収や雇用などさまざまな面で大きなマイナスだ。必要な場所に必要な土地が確保できるよう、市と連携しながら取り組んでいく。
人に流されず、己を貫くことを人生哲学にしているからだろう。どんな質問に対しても、オブラートに包もうとしない。飾り立てるのが嫌いな政治家だ。
例えば、これまでの仕事で自負できることを尋ねると、「そんなもんはない」と味も素っ気もなく返す。自身が所属する会派の7人中5人が夫妻から現金を受け取ったことに対する、会派の責任を問うと、「会派の問題ではない」と一蹴する。湯崎知事の県政とは一定の距離を置く会派に属するとはいえ、「湯崎県政で評価できるところはない」と言い切る。
東広島市議を経て県議に。東広島商工会議所青年部長を務めた経歴も持つ。当然、東広島への愛着は人一倍強い。酒まつりの礎を築いた人でも知られる。今回のインタビューでも、東広島の発展を願い、県議として果たすべき役割を熱っぽく語った。ただ、筆者が懸念するのは、数の力がものをいう県議会にあって、氏の属する少数会派だけでは議案を通すことは不可能だということ。成就のためには己の美学を曲げる必要もあるだろう。
歯に衣着せぬ言動もあり、周囲からは「希代の喧嘩師」と評される。しかし、自分は自分という姿勢が評価されるのか、選挙では1万人の支持を得る。なんとも不思議な政治家である。
【プロフィル】
1952年生まれ。修道高校中退。東広島市議を2期務めた後、2007年、県議選に初当選。以後4期連続当選を果たす。県議会の所属会派は自民党広志会。元東広島商議所青年部長。西条町。
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