「ミライノ＋」開設から1周年! 新しい視点を得る「WOW!」の感動大切に

　東広島市西条栄町の「東広島イノベーションラボミライノ＋」が2020年11月で開設1周年を迎えた。新しい視点の持ち方を学べるイベントや、みんなでアイデアを出して地域の課題を解決するプロジェクトなどを年間で48回開催し、延べ931人が参加した。「新しいことに挑戦するきっかけになった」「違う世界がのぞけた」など参加者の評価は上々だ。（茨木）

　東広島イノベーションラボミライノ＋は、高垣広徳市長が掲げる〝イノベーションを通じた産業や地域の活性化〟を具体化する拠点として昨年11月8日、べに屋ビル１階の約200平方㍍の空テナントを改装して開設。

　施設は「外からの刺激も受けながらクリエイティブなやり取りができるように」とあえて間仕切りの少ない構造にした。

　室内のインテリアは、広島大学や広島修道大学、呉高専の学生らがワークショップで制作した可動式の畳ベンチや本棚を活用。壁にはアイデアを書き留めるホワイトボードや黒板を一面に設置した。

【大学生を交 えたデザインワークショップ若いアイデアを内装に反映】

　イベントやプロジェクトを中心になって手掛けるのは東広島市産業振興課・産業イノベーション担当参事の山崎弘学さん。

山崎弘学さん

　県庁職員で2019年、市に出向した。自ら感動や喜びを伝える「Chief WOW Officer」と名乗る。県庁で培ったノウハウと人脈を生かし、「常識を疑え」という反骨心を持ちながら、「今の時代」に注目される視点や考え方を盛り込んだ企画を提案する。

　昨年11月の記念公演では、平日の練習時間50分の進学校ながら、ドラフト指名されるほどの選手を育てる武田高硬式野球部の岡嵜雄介監督をゲストに迎えた。岡嵜さんは、「置かれた環境で結果を出す」ための常識を打ち破る数々の指導法から、結果を出すための意識や考え方などを紹介。小中学生からビジネスマンまで県内外から約130人が参加した。

　今年10月には「13歳からのアート思考」の著者・末永幸歩さんによるアート思考ワークショップを開いた。中学生から大人まで約40人が参加し、「自分なりの視点」を磨く「アウトプット鑑賞」に挑戦した。

人気哲学者の小川仁志さん

　他にも、コロッケ弁当専用のソースを開発するプロジェクトや、起業を目指す若者たちが、先輩起業家たちの指導を受けながら構想を練り上げていく「起業道場」、「自分を知り」「自ら行動する」ことを目標にワークに取り組む小中学生向けの「キッズキャリアスクール」など、月に３～４件のペースでイベントやプロジェクトを開催している。

【コロナ禍を好機に地元トマトを使用、ソースを開発】

コロッケ弁当専用のソースを開発するプロジェクトの様子

熱心に対話する末永幸歩さん

キッズキャリアスクール

　楽しく学ぶ中で参加者がＷＯＷ！と感動し、クリエイティブやイノベーションという言葉が〝自分にも関係があることなのだ〟と思ってもらえる仕組みを大事にしてきた。この１年で、情報や人との巡り合わせから生まれた企画がたくさんある。私自身が〝熱量〟を持って取り組むことで、〝俺にも、わたしにもやりたいことがある。ミライノ＋ならできるかも〟と感じた人や、活動を応援したいと言ってくれる人が自然と集まった。

　ビジネスシーンにのみ〝クリエイティブ〟や〝イノベーション〟があるわけではない。地域の中にも、家の中にも、視点を変えれば新しい価値の可能性が見えてくる。子どもも大人も毎日をワクワクしながら生きていける、その火種づくりをこれからも担っていきたい。