【地域共生社会とは】
誰もが住み慣れた地域で世代や分野を超えてつながり 、暮らしや生きがいを ともに充実させながら安心して暮らせる社会 のことです。
東広島市では、この実現のために様々な取り組みを進めています。
そんな様々な取り組みを東広島デジタル編集部が紹介していきます。
地域共生社会のイメージがこちら 。
※厚生労働省地域共生社会のポータルサイトより
いろいろな立場の人たちが社会に参加し、つながり、支え合いながら、
人生を充実させたり、生きがいをみつけたり、
安心して暮らせる地域社会ということなんですね。
市内の地域共生に関する取り組みを紹介するシリーズの2回目。
今回は、河内町で開かれた「災害を忘れないコンサート」 です。
2021年7月4日、「過去の悲劇を未来に生かし 被害をゼロに」をキャッチフレーズに開催された「災害を忘れないコンサート」には約80人が来場しました。主催はボランティア活動を行う団体「地域支援東広島」。広島大学の学生ボランティア団体「OPERATIONつながり」や東広島市社会福祉協議会の職員もスタッフとして参加しました。
心安らぐコンサート
まずは広島三育学院の生徒たちによるハンドベル演奏 で幕を開けました。
新型コロナ感染拡大防止集中対策期間中だったため、ビデオ録画による出演でしたが、ハンドベルの澄んだ音色が会場を包み込みました 。
災害を考える講演会をはさみ、最後は姜暁艶さんによる二胡と、倉田香織さんによるエレクトーンの演奏 です。
歌謡曲やアニメ主題歌など、馴染み深い曲を中心に、参加者を盛り上げました。
災害を考える講演会
今回のコンサートは、心安らぐ音楽だけではありません。「過去の悲劇を未来に生かし 被害をゼロに」するため、演奏の合間に講演会 も開催。
災害で生活が変わった子供を支援する会・広島県防災ドローン研究会の伊達富美代表を講師に迎え、防災意識に関するお話しを聞きました。
伊達さんは、この数日前に静岡県で発生した土砂崩れや3年前の災害を例に挙げ、「大雨が降る前には、気象庁が情報を出した。記者会見も開いて警戒を促している」とテレビなどを見れば無料で得られる情報を、自分ごととするよう強調しました。
また広島県が制作している「ひろしまマイ・タイムライン」を配布し、家族で非常時の動きを話し合うよう促しました。「マイ・タイムラインを完成させることももちろん大事だが、まずは『作ってみよう』と行動に移すことが大切。行動に移すか移さないかが『生き残れる家族』に近づく 」と、強い言葉で防災意識を呼びかけました。
参加者の声
コンサートを観覧した池田喜美枝さんは「音楽で心が洗われた。3年前のことを忘れず、1日1日を大切に過ごしたい」と、コンサートを楽しみつつ改めて災害に思いをはせました。
また、「OPERATIONつながり」の福田篤郎さん(広島大3年)は、ボランティア活動を通して、人とのつながりや他のボランティア団体とのつながりを育んでいます。「活動の中で、復旧してきたことを感じる。今回のコンサートは西日本豪雨を学び、知ってもらうためにいい機会」と、コンサートへの参加にも手ごたえを感じていました。
「地域支援東広島」吉川秀幸さん
コンサートを主催した「地域支援東広島」の吉川さん。
災害のあった日は、朝5時まで新聞配達の仕事をしていました。その1時間後、さっき自分が通った道が崩れました。少し時間がずれていたら…と怖くなったと言います。
河内町は一時、道がふさがれたことで孤立しました。夕方から、身の安全に気を付けながら道の土砂を取り除く作業を開始。
地域の人たちも次々に集まり、力を合わせて道を開けました。また、災害ボランティアが活動を始める前に、ボランティアが動きやすいように調整し、後のフォローなども行いました。
高校生の時からボランティア活動をしている吉川さん。
「ボランティアは、自分がやりたいから、自分ができることをやっているだけ」と話します。
3年前の災害では、親しくしてくれた近所の方を亡くしました。
その方は年下の吉川さんにも気さくに声をかけてくれ、いろいろなことを教わり、助け合う仲だったと言います。
「災害は、人、モノ、想い出を奪っていく。それらを忘れないように 」とコンサートの開催を決めました。
参加者の笑顔を見て「来てくれた方が楽しんでくれてよかった」と、自身も笑顔になっていました。
取材後記
吉川さんは、自身の心を満たすのためにボランティアをしていると話してくれました。
「情けは人の為ならず」人に情けをかけることは巡り巡って自分のためになるとはよく言いますが、吉川さんの場合は、巡らずとも自分の喜びにしているのですね。「『自己満足』と言われればそうかもしれない」と笑う吉川さんが印象的でした。