【地域共生社会とは】
誰もが住み慣れた地域で世代や分野を超えてつながり 、暮らしや生きがいを ともに充実させながら安心して暮らせる社会 のことです。
東広島市では、この実現のために様々な取り組みを進めています。
そんな様々な取り組みを東広島デジタル編集部が紹介していきます。
地域共生社会のイメージがこちら 。
※厚生労働省地域共生社会のポータルサイトより
いろいろな立場の人たちが社会に参加し、つながり、支え合いながら、
人生を充実させたり、生きがいをみつけたり、
安心して暮らせる地域社会ということなんですね。
市内の地域共生に関する取り組みを紹介するシリーズの4回目。
今回は、独自の介護予防サロンを開く特別養護老人ホーム あきまろ園(安芸津町風早・登義雄施設長)を紹介します。
きっかけは利用者の一言
あきまろ園は、身体機能の維持・向上のためのリハビリをはじめ、利用者が自立した生活が送れるよう、各種介護保険サービスによってサポートしています。その中のひとつである「通所型サービスA」は、フレイルの状態となった方が通所によるリハビリテーションを行い、自立した生活ができると判断されれば“卒業”となり、以降は自宅や地域のサロンで体操などを行うことになっていました。
しかし“卒業”が決まった利用者から、「もうあきまろ園に来られないの?」と一言。
「顔なじみになった療法士や他の利用者と会えなくなるのが寂しい」と感じていた のです。
また、自宅や地域サロンでは運動量が減少してしまい、卒業後間もなく、入所による介護サービスに移行する例もありました。
専門職のジレンマ
一方で、サービスを提供する療法士にも葛藤がありました。
頑張ってリハビリをしても、要介護状態となった利用者にとっては維持が限界で向上が見込めないことが多く、「もっと早くリハビリに取り組んでいれば」とジレンマを抱えていたのです。
そこであきまろ園は、平成28年11月から「介護予防サロン」を始めました。
サロンに参加できるのは、通所型サービスを卒業した方 。
リハビリに通って得た身体機能を維持し、さらに向上して、自立した生活を長く続けることが目的 です。
通所で仲良くなった方とも、また一緒に体操ができるのです。
フレイル予防の3つのカギ
健康寿命を延ばすためには、運動、食事、そして社会参加が重要な要素 だと言われています。
筋力や栄養面だけでなく、趣味や習い事を楽しんだり、地域行事に参加したりと、人とのつながりを続けることも健康寿命の延伸につながります。
あきまろ園の介護予防サロンでも、体操やレクリエーション、そしてバランスの良い昼食が提供されますが、利用者にとっては療法士や他の参加者とおしゃべりし、笑い合うことも大切なのです。
この日サロンを担当した作業療法士の亀田仙さんは、
「休憩の間のコミュニケーションも大事にしている。サロンではとにかく楽しく過ごしてほしい」と話していました。
(亀田さん(左)と施設長の登さん)
地元事業者の協力もカギ
以前は施設職員が自動車数台で利用者の送迎を行っていましたが、限界を感じ、東広島タクシーの協力を得ることになりました。
介護予防サロンには無料で参加できますが、その充実した内容から、参加者自ら参加費負担の申し出があり、今では交通費のみ参加者負担としているそうです。
ほかに、オノベーカリー(安芸津町三津)や川本ストアー(同)の出張販売も頻繁に立ち寄るなど、事業者と連携しながら地域経済にも貢献しています。
地域のために
社会福祉法の改正に伴い、社会福祉法人の地域における公益的な取組みを行う努力義務が法に明記されました。
しかし、施設をとりまく現状として人口減少や高齢化、人手不足という状況で福祉サービスを提供することが求められています。
安芸津町随一の規模とはいえ、あきまろ園も同じ課題に当たっています。
登施設長は「あきまろ園は、当時の安芸津町から期待されて設立されたという経緯もある。あきまろ園が地域のためにできることはたくさんある。療法士などの専門職員には『あきまろ園の先生でなく、安芸津の先生になればいい』と話している」と、“地域あってのあきまろ園”を強く意識していました。