昨年は参議院広島選挙区の大規模買収事件で、国、地方を含めて政治家や選挙、政治の在り方が大きく問われた1年だった。こうした中、プレスネットでは現職市議2氏の話を交え、東広島にスポットをあてた政治について5回シリーズで考える。1回目は県議の役割。(日川)
「何をしたいのか伝わらない」
存在感ある県議に覚悟必要
県議会は「中2階」と揶揄(やゆ)されるように、市民からは「何をしているのか分からない」遠い存在だ。東広島市選出の県議は4人だが、彼らの役割について考えてみる。
現在の広島県議は64人。県行政の政策立案と監視機能に関わることが大きな仕事だ。ただ、広島県議の場合、数の力が作用し、いわゆる主流派と呼ばれる最大会派に属していないと、それぞれの政策を反映できないのが現実。県議会の伝統となっている。
4人のうち、主流派に属しているのは1期目の恵飛須圭二氏と、6期目の下原康充氏の2人。西本博之氏は県政与党に属するがキャスティングボートを握れない。井原修氏は自民党系会派であっても非主流派だ。主流派の下原氏にしても河井問題の影響で発言力を落としている。若い恵飛須氏も主流派での影響力はまだまだだ。つまり4氏とも政策提案の権利を行使できにくいのが実情だ。
4氏を含めた昨年の県議の活動日数だ。全議員が出席するのは66日。少ないと思われるかもしれないが、表に見える数字の話。実際は任意の会派研修会や勉強会、視察なども含めれば、「県庁が職場」の議員は多いという。ただ、県庁での仕事が東広島での集票に結びつきにくいのが、県議の難しい側面だ。
市議のA氏は「彼らが政策的に何をしたいのか、いまだに伝わっていない。個性だけは強いけど」と皮肉るこの言葉が、現実を物語る。県議と近い市議ですら、そう感じるのだから、市民が「県議の使命が分かりにくい」と思うのは至極当然なのだ。
一方、4人は県全体の政策に目配りする役割の他に、東広島市選出の県議として、市のために働くことも求められる。井原氏が、県議であっても東広島のまちづくりに軸足を据えているのはそのためだ。
広島県議選 東広島市選挙区 過去4回の結果を見てみると顔ぶれはほとんど変わらない。市民には「議員は誰がなっても一緒」としか映らないから議員を変えたいという行動には結びつかない。当然、市民は議員をリスペクトしなくなり、選挙に無関心となって低投票率につながるのだ。まさに負のスパイラルだ。
市への貢献度をみる目安は、B氏が「県の予算の他、国からの予算も県を通して各市町に配分されるが、当然、市選出の県議には、東広島への配分を多くしてもらうよう働き掛けてほしい」と指摘。
とりわけ、西日本豪雨災害やコロナ禍に対応する予算の獲得は、県議の大きな役割だ。昨年の取材で、災害やコロナ禍への予算獲得に尽くした、と自己評価する県議も目立った。
実際、これまでに、災害やコロナ禍への対応で多くの国県絡みの予算が講じられている。4人の思いが反映された予算措置も多いだろう。プレスネットでは災害時の各県議の活動を追って特集したい。ただ、A氏によると「市民には、緊急時の予算措置は、県の事業だろうが、市の事業だろうがあまり関係ないこと。どれだけ生活に影響し、役立っているのか、という観点でしか判断しない」。
また、河井案里問題で問われる政治責任の取り方、金との問題についても議員が説明することが今一番求められているようだ。
県議の役割を思うとき、「国県からの市への予算措置を上手く進めるには市議との連携が不可欠」(B氏)であり、A氏は「自分の政策が条例や予算に反映されるときの達成感を味わえる県議になってほしい」とエールを送る。
🔍東広島市選出市議4氏の主張
🔍【シリーズ】東広島選出県議に聞く
「恵飛須 圭二氏」市民の「知りたい」を直撃!【東広島選出県議に聞く④】
東広島市選出の県議は4人。その役割は重要だが、選挙を除くと、市民が4人と接する機会はほとんどない。4人は県政や旬の問題をどう捉えているのだろうか。読者に代わって「読者が知りたい」同じ質問を4 […]
「西本博之氏」市民の「知りたい」を直撃!【東広島選出県議に聞く③】
東広島市選出の県議は4人。その役割は重要だが、選挙を除くと、市民が4人と接する機会はほとんどない。4人は県政や旬の問題をどう捉えているのだろうか。読者に代わって「読者が知りたい」同じ質問を4 […]
「井原 修 氏」市民の「知りたい」を直撃!【東広島選出県議に聞く②】
東広島市選出の県議は4人。その役割は重要だが、選挙を除くと、市民が4人と接する機会はほとんどない。4人は県政や旬の問題をどう捉えているのだろうか。読者に代わって「読者が知りたい」同じ質問を4 […]
「下原康充 氏」市民の「知りたい」を直撃!【東広島選出県議に聞く①】
東広島市選出の県議は4人。その役割は重要だが、選挙を除くと、市民が4人と接する機会はほとんどない。4人は県政や旬の問題をどう捉えているのだろうか。読者に代わって「読者が知りたい」同じ質問を4 […]